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  •  今回は2014年年間ランキングをお届けしたいと思います。2014年に読んだ本、計92冊の中からトップ20を選びました。
    今回から4回シリーズで2014年年間ランキングを発表していきます。第1回目の今回は、第20位から第16位までをご紹介します。
    ※本のコメントは、読書記録サイト「読書メーター」に私が投稿したコメントの転載となっております。

    2014年年間ランキング

    20位 「破戒」 島崎藤村



    「人生は無慈悲な、残酷なものだ」(p281) 新平民(旧えた)の身分を隠して勤務する教師、瀬川丑松の懊悩を描きます。明治の世になっても、決して消えることのない江戸の残骸、身分制度。その不条理さへの嘆きをどこにもっていけばよいのか分かりませんでした。決して明治の人を非難するわけではなく、差別は空気のように、問題意識のないままに存在を続け、決して変えることのできない存在だったのだと思います。打ちひしがれ、「獣の仲間に生まれたかった」とまで言う丑松の姿は辛すぎました。ラストも救いがなく、大きな闇を感じます。

    19位 55歳からのハローライフ 村上龍





    「本当に大切なことは、本当に大切な人にしか話せない」 中高年の方の姿を描いた短編5編です。「信頼」というのが共通のテーマになっています。私は「55歳」から見れば3分の1も生きていません。年をとるにつれて、様々な経験や感情が積み重なってできる他者との「信頼」について、精一杯想像しながら読みました。齢を重ねるとはこういうことなのかな、と拙いながらも感じます。中高年の悲哀や苦悩を丁寧に描きつつも、最後の数ページにそっと優しく希望が差し込まれます。飲み物の描写も印象的。私も、前を向いて素敵に年をとりたいです。

    18位 調べる技術・書く技術 野村進 



    かなりおすすめの良書です。目次を見ていただければ分かりますが、ライターの在り方を審らかに明かしています。序盤の「テーマ決定の参考ポイント」は大変参考になりました。普遍性や、未来への方向性、テーマにはそんな意図もあるんですね。「人に会い、話を聞き、文章にする。たくさん読み、たくさん観、たくさん聴く。こんなことを繰り返すうち、知らず知らずに自分が豊かになっている(pp242)」本当にその通りですね。これぞプロ、という感じでした。繰り返します、かなりおすすめの良書です。

    17位 県庁おもてなし課 有川浩




    あれもない。これもない。何もない。-「ない」の中に埋もれた「ある」ー。  地域活性化と恋愛模様が魅力的な、爽やか系の小説です。頭の固い縦割り行政、お役所仕事を皮肉った記述には、うんうんと頷かされます。そんな縦割り行政の一員だった掛水君が、様々な出会いを通して「おもてなしマインド」を身に付け、成長していく様子がたまらなく愛おしいです。  高知の方言もこれがまたかわいいんですよね。何だか故郷に帰ったような気持ちに・・・。地域活性化に必要なのは、このホッとさせるような「故郷感」なのかもしれませんね。

    16位 福翁自伝 福沢諭吉


    「なるほど枕はない筈だ、これまで枕をして寝たことがなかったから」福沢諭吉の学ぶ姿がよく分かる一説です。緒方洪庵のもとで弟子たちと学んだ環境は、自由闊達で鷹揚とした一種の理想郷のようでした。そこにあるのは原石のような輝きを放つ「学び」という営み。そこから得られた「目的なしの勉強」という教訓は金言です。「あくせくするな、真の勉強をするなら静かに居るべき」そんな風に説いています。解説にもありましたが、自分の弱い部分もさらけ出している点に価値がある自伝です。全裸で飛び出していくなど、かなりお茶目な面も・・・。

     以上、20位から16位までご紹介しました。次回は15位から11位までを発表していきます。

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    •   13, 2015 17:43
  •  2014年年間ランキング、第2回の今日は第15位から第11位までをご紹介します。2014年に話題になったあの1冊もランクインしております。ではさっそく、第15位から発表していきましょう!
    ※本のコメントは読書記録サイト「読書メーター」に私が投稿したコメントの転載となっております。

    2014年年間ランキング

    15位 龍神の雨 道尾秀介



    「どこまで行けば、自分は最悪にたどり着けるのだろう」 今日の天気は雨。鉛のような空が広がっています。そんな中でこの作品を読んでいると、冷たい感情が心に染み込んでくる感じがしました。素直にストーリーを追っていると、終盤から怒涛の展開。まさに「倍返し」を食らわされました。血の繋がっていない家族でも信じるべきだというセリフが最後にありましたが、難しいことだと思います。血の繋がりでしか越えられない壁もあるのではないのかな、と思います。2組のきょうだいは強く生きてほしいです。「止まない雨はない」などと呟きつつ・・。

    14位  天地明察 冲方丁


    「星が、私に命を与えてくれるんだ」 世間の評判に違わぬ、素晴らしい作品でした。全ては絵馬に記された関孝和の回答から始まります。夢中になって、周りが見えなくなるような感動と好奇心。そんな春海の様子を、躍動感たっぷりに描く序盤は圧巻です。  大作は中盤でだれるものも多いのですが、この作品はそんな中盤も文句なし。波乱万丈で起伏に富んだストーリーが息つく間もなく続きます。  天という巨大な存在に、圧倒されつつも挑み続けた春海と、彼を支え続けた人々。最後に天を制した春海。まさにあっぱれの「明察」でした。

    13位 忘れられた日本人 宮本常一


    わずか5ページの短篇ですが、「子供をさがす」が印象に残っています。「だれに命令せられると言うことでなしに、ひとりひとりの行動におのずから統一ができている(103ページ)」村社会の様子を感じ取ることができます。ライフヒストリー的手法で描かれる人々の「生き様」も魅力的ですね。「自分だけは自分の納得できる生き方をしたい」の部分を読んでいろいろと考えさせられました。現代という時代の大きな流れに去勢されて生きる私たち一人一人に、果たしてこれほどの生き様があるのだろうか・・・忘れてはいけない日本人の姿だと思います。

    12位 理由 宮部みゆき


    一体いくつの家族が登場したでしょう。それぞれの家族の姿を、ざるからこぼれる一滴も逃さないとばかり綿密にそして丹念に描いていきます。人を人として存在させているのは「過去」つまり血のつながりなのだ、そういった記述がありました。その血のつながりを持たなかった「家族」が、高層マンションの一室で文字通りの「空中分解」を遂げ、家族を全否定し、自由を求めた人間がその部屋から「堕ちて」いく・・・事件の全貌が見えた時、背筋が凍ります。宮部さんは、「ページをめくらせる力」がすごいのです。小説の領域を超えた小説かもしれません。

    11位 地方消滅 増田寛也



    若年女性が2040年までに半減する「消滅可能性都市」が全体の約半数、というデータが示されます。私の地元はここに含まれていませんでしたが、減少率は40%後半・・・。来年から小学校の統廃合・再編が始まるなど、「消滅」への足音をひしひしと感じています。地方に雇用がなく、「人口のブラックホール」である東京に一極集中が進む状況に危機感を覚えます。地方中枢都市を最後の砦にするという主張は大変現実的で、数十年後にそういった状況になるのだと思います。「人に伝えなければ」久しぶりにそう思った一冊です。

     ということで、第15位から第11位までをご紹介しました。第11位にランクインしたのは増田寛也さんの「地方消滅」。昨年発売された話題の1冊です。この本については、後日「ブックレビュー」で詳しく紹介したいと思います。そして、次回はいよいよトップ10!自信をもってお勧めする名作揃いです。こちらもどうぞお楽しみに。




    •   14, 2015 23:11
  •  2日ぶりにお目にかかります、おともだちパンチです。今回は、2014年年間ランキングトップ20の第3回をお送りします。いよいよトップ10にさしかかり、思い入れのある本が並んでいます。それでは第10位から発表してまいりましょう。
    ※本のコメントは、読書記録サイト「読書メーター」に私が投稿したコメントの転載となっております。

    2014年年間ランキング

    10位 もの食う人びと 辺見庸

    もの食う人びと (角川文庫)もの食う人びと (角川文庫)
    (1997/06)
    辺見 庸

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    『「食う」という人間の絶対必要圏』(本文より)に踏み込んだノンフィクション。最初の短編「残飯を食らう」から、口の中に気持ち悪い唾液が広がります。途中、本から顔をそらす場面が幾度もありました。壮絶なレポ、なんとか読了です。印象に残った編は、「麗しのコーヒー・ロード」「兵士はなぜ死んだのか」の2編です。外国人にお金をもらうために皿を唇に挟むスーリ族、病気による除隊を狙い、石鹸を食べ、そして死んでいくロシアの兵士たち。「文化の破壊」「食の殺人」を突き付けられます。体を張って世界を巡った筆者に敬意を表します。

    位 神様のカルテ2 夏川草介

    神様のカルテ2 (小学館文庫)神様のカルテ2 (小学館文庫)
    (2013/01/04)
    夏川 草介

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    「医師の話をしているのではない、人間の話をしているのだ」 続編制作は一般的に難しいものだと思います。前作からの期待が読む前からあって、どうしてもハードルは高くなるものです。 が、しかし!前作からこんなにも進化、かつ深化した作品、それが「神様のカルテ2」です。 今作のテーマは「悲しい別れ」。冒頭で引用した名ゼリフが出てくる場面、最終盤での大狸先生が見せる慟哭。何かが突き上げてくるような、渾身の描写でした。 「良心に恥じぬということが、我々の確かな報酬だ」一止が、いつまでも一止でありますように。

    位 読書力 齋藤孝

    読書力 (岩波新書)読書力 (岩波新書)
    (2002/09/20)
    齋藤 孝

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    「現在の日本では、何かを知らないということは、恥にはならなくなってきている」(pp54)その通りだと思います。知らないことが瞬時に検索できる現代は、「知らなくてもよい」時代になったのかもしれません。この本の刊行から12年、そんな傾向はさらに進んでいます。しかし、本は「読まなければいけない」!強いお言葉でした。自己形成や、コミュニケーション能力、要約力の向上など、読書には利点がたくさんあります。個人的に耳が痛かったのは、「エンターテイメントの壁」。量だけでなく、読書の質も磨いていきたいものです。

    位 百年法 山田宗樹

    百年法 上百年法 上
    (2012/07/28)
    山田 宗樹

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    「人間は、無限の時間を生きるには、複雑すぎる生き物だ」。不老化処置と、生存制限法、いわゆる「百年法」が成立した日本共和国の物語。人間が健全に生活できるのは、「自分がいつ死ぬか知らないから」でしょう。もし、自分の寿命が定められたら・・・。死の恐怖におびえ、精神が破壊されるのではないでしょうか。そんな、人間が踏み込んではいけない「タブー」に踏み込んだ作品です。牛島、遊佐が権力を掌握していくまでのスピード感が上巻の見どころだと思います。百年法凍結の国民投票、たぶん私も凍結を選ぶだろうな・・・などと思いつつ。

    位 向日葵の咲かない夏 道尾秀介

    向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
    (2008/07/29)
    道尾 秀介

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    「僕だけじゃない。誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか」体から力が抜けていきました。「人間、一度こうだと思い込んでしまったら、なかなかその考えを変えることができないんだからね」S君が序盤で口にしたセリフは、道尾さんが読者に投げかけたものでもあるのでしょう。私の読みは私の「主観」であり、それが二重にも三重にも裏切られていく展開に唖然としました。そして最後には、物語を覆う「主観」に気付かされます。こんな物語を作り上げ、私たちを見事にその世界へと誘って見せた「ミチオ」は、作者の道尾さんの化身なのでしょうか。

     ということで、第10位から第6位でした。第9位の神様のカルテ2は、計3冊あるシリーズの中で私が最もお気に入りだった1冊です。大狸先生の慟哭は忘れられない場面ですね。そして第6位には道尾秀介さん「向日葵の咲かない夏」。年末に読んだ本なのですが、その伏線の張り方が巧みで印象深い作品でした。さて、次回はいよいよトップ5!栄えある1位に輝くのはどの作品でしょうか。




    •   16, 2015 21:47
  •  4回にわたってお送りしてきた「2014年年間ランキング」。いよいよトップ5の発表を残すのみとなりました。普段私がどのような本を読んでいるのかを紹介するという意味では、自己紹介代わりにもなったかと思います。では、トップ5の発表です。
    ※本のコメントは読書記録サイト「読書メーター」に私が投稿したコメントの転載となっております。

    2014年年間ランキング

    位 ツナグ 辻村深月

    ツナグツナグ
    (2010/10)
    辻村 深月

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    最終章に向かっていく構造が素晴らしかったです。それまで機械的に仕事をこなしていたような歩実くんの「思い」が伝わると同時に、死者と生きる者の秘めた「思い」も明らかにされる・・・物語が一気に深まっていきました。 お互いにチャンスは一度きり、そして再会は一晩だけ、終わった後に死者には本当の死が待つ・・・そんな設定は残酷です。そこに収まりきらない思いが物語の外からも溢れ出してくるようで、「思いを伝えること」の大切さを痛感させられます。生きているうちに、会えるうちに。自分の言葉と思いをもっと大事にしたいと思います。

    位 ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件 宮部みゆき

    ソロモンの偽証 第I部 事件ソロモンの偽証 第I部 事件
    (2012/08/23)
    宮部 みゆき

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    「中学生が、そこまで邪悪になれるものだろうか」(pp641)。この一言に尽きる作品だと思います。一人の中学生の死から巻き起こる波紋が、次々と「悲劇の連鎖」を引き起こしていく壮大な長編です。そのボリュームを生かして描く、何層にも積み重ねられていく「悪意の層の厚さ」が圧巻でした。それを描くからこそ、この文量なのか、と納得させられます。また、終盤で樹里が不気味に笑う場面が印象に残っています。邪悪を詰め込んだような醜い樹里に、個人的にはⅡ部以降で注目です。心の奥底まで鉛が沈んでいくような、そんな読後感でした。

    位  夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦

    夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
    (2008/12/25)
    森見 登美彦

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    はい、私のニックネームの由来になっているのがこの本です(笑)読書メーターに登録するため、昔(読書メーターを始める前に)読んでいましたが再読。  「おともだちパンチ」は作品序盤に登場します。「なんだ、この人のセンス!?」と驚愕しました。難解で奇々怪々ながらも狂おしいほどに愛おしい(日本語破綻?)森見さんの独特の作風は、誰にも真似できない「遺産」です。  桃色ブリーフ、詭弁論部、森見ワードはいろいろあるんですが、この「おともだちパンチ」が一番好きなのです。その絶妙なニュアンス、読んでいただければ分かります。

    位 終末のフール 伊坂幸太郎

    終末のフール終末のフール
    (2006/03)
    伊坂 幸太郎

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    「死に物狂いで生きるのは、権利じゃなくて、義務だ」 力強いセリフを引用しました。このセリフが普通に出てきたら、強すぎるというか説教臭いかもしれません。でも、この作品では自然に、すーっと入ってくるんです。小惑星が衝突して、8年後に地球が滅亡すると分かってから5年がたった世界。厭世、絶望が蔓延する中、人々はそれぞれの事情を抱えながら生きる道を選びます。教訓的、啓蒙的な「生きろ」ではなく、「地球全員余命3年」という状況から「死」と表裏一体にして描き出す「生」・・・。まだまだ語りたいのですが、悲しいかな、字数が。

    位 博士の愛した数式 小川洋子

    博士の愛した数式博士の愛した数式
    (2003/08/28)
    小川 洋子

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    「自分が迷いこんでいた状況の混沌ぶりに比べ、たどり着いた解決の地の、この清らかさは何なのだろう」  素晴らしい作品に出会いました。淡々とした筆致ながらも、温もりと優しさを感じさせる文章。数字のもつ美しさ、数学の楽しさ、丸裸で人を愛することの素晴らしさ・・・。80分しか記憶の持たない博士と、そんな博士に寄り添う親子の姿に心が洗われます。第1回本屋大賞の肩書は紛れもない本物でしたね。  阪神タイガースの描写もよかったです。時代の流れを感じさせるとともに、それぞれのエピソードを印象的にしています。

     いかがでしたか?2014年年間ランキングトップ20の発表が終了しました。3位は私のハンドルネームの由来になっている森見登美彦さん「夜は短し歩けよ乙女」。先ほどは「恋文の技術」のレビューを掲載しました。他の作品も順次掲載していきたいと思います。2位は「終末のフール」。互いにリンクする短編が終末の世界を描く傑作です。そして第1位は小川洋子さん「博士の愛した数式」。本屋大賞も受賞した小川洋子さんの代表作で、心が洗われる作品でした。堂々の1位ランクインです。

     5日前に開館した当館ですが、今日来館者数が10人を超えていました。ちょっと嬉しい(笑)。 今後とも良い記事をお届けしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。




    •   17, 2015 17:18
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