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  • 命、みなぎる -『神去なあなあ日常』 三浦しをん

     22, 2015 00:30
     あなたは今、生きていますか?
     なんだかすごい質問で始めてしまいました。ここは宗教勧誘サイトではありません、本の紹介サイトですからどうぞご安心ください。こんにちは、おともだちパンチです。ブックレビューの第5回は三浦しをんさん「神去(かむさり)なあなあ日常」をご紹介します。冒頭のような質問が出てきたのは、この本を読んで、「自分は今、生きているのだろうか」そんな風に思ったからです。詳しく見ていきましょう。以下、「神去なあなあ日常」のレビューです。

    神去なあなあ日常神去なあなあ日常
    (2009/05/15)
    三浦 しをん

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    「空気がおいしい」小説



     この小説を読んで、「空気がおいしい!」と叫びたくなりました。素敵な装丁を挿絵、それに三浦しをんさんのハートフルな文章。生き生きとして、みずみずしい、そんな作品になっています。主人公は横浜に暮らしていた平野勇気。高校を卒業した彼に、両親を担任の教師の計らいでいきなり、人生の転機が訪れます。それは、「林業の研修生制度」。後継者不足に悩む林業を救うため、国が制定したこの制度に、勇気は勝手に応募されていました。訳も分からず新幹線に載せられた彼は、新幹線からローカル線をはるばる乗り継ぎ、田舎の村にたどり着きます。それが、「神去村(かむさりむら)」。見知らぬ村での勇気の日々が始まりました。

    高まる生命力



     絵にかいたような田舎である神去村。「こんなところ、脱走してやる」最初はそんな風に思っていた勇気ですが、ヨキや清一、繁ばあちゃんなど個性豊かな村の人たちとの濃密な人間関係、そして自然を相手にする林業の魅力に気付き、村の虜になっていきます。以下は、勇気の中盤でのセリフです。

    一時だって、神去村から離れたくない。毎日、退屈する暇もなく生命力を増していく村の風景を、なにひとつ見逃したくない。ダニに噛まれても、ヒルに血を吸われても。



     短期間でこんなにも勇気を変えたもの、それはこのセリフにもある村人の「生命力」でした。古くからの「しきたり」が守られ、山の神さまを信仰してやまない、そんな神去村は、現代から見たら時代遅れに映るかもしれません。ですが、そこに暮らす人々の命は輝きに満ち溢れているのです。それはなぜか、と考えた時、2つのことが浮かびました。まずは「信じるもの、寄り添うものがあること」、そして「自然を受け入れ、自然と共生していること」。勇気もそのことを体で感じ、村の虜になっていきます。自分の地元、横浜にはなんでも揃ってるよ、そう言おうとした勇気はふと考えます。

    この村にはないものがいっぱいある。そう答えようとして、ためらった。でも、(横浜は)俺がいなくてもだれも気にしない場所だ。



     都会の希薄で交換可能な人間関係と、田舎の濃密で交換不可能な人間関係が対比されている印象的な箇所です。そんなことを考えているうちに、冒頭の問いにたどり着きます。「自分は今、生きているのだろうか」「呼吸をしているのだろうか」・・・都会の生命力は、悲しいくらいに、弱い。

    グローバルってなんや?



     神去村の繁ばあちゃんは、カタカナ語に疎く、上手く話すことができません。そんなおばあちゃんに、「グローバル」なんて言葉をかけたら、こんな答えが返ってくるでしょう。
     「グローバルって、なんや?おいしいんか、それ?」
     グローバルグローバルと叫ばれる世の中で、自分の村という小さな世界で一生を終える人もいます。神去村も、世界から見れば取るに足りない一部分にすぎません。しかし、ここで間違えてはいけないのは、「グローバル=善 ローカル=悪」というわけではないということ。世の中の趨勢を見れば、それは間違いなく「グローバル」です。そんな中、たとえ注目はされなくても、生命力を放つ「ローカル」は日本のどこかで、今も確実に存在しています。地方の消滅危機が叫ばれている中、私たちが守らなくてはいけないものを見た気がします。

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    小説, 三浦しをん,



    •   22, 2015 00:30
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