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  • 刮目の一行 -『追想五断章』 米澤穂信

     06, 2015 18:11

     43冊のブックレビューのうち、この方の作品はこれで3作品目。ブックレビューでは作家別で最多の冊数です。今年に入って初めてこの作家さんの本を手に取ったのですが、毎回楽しませていただいています。

    追想五断章
    追想五断章
    posted with amazlet at 15.05.06
    米澤 穂信
    集英社
    売り上げランキング: 513,453


     質の高いミステリーを書かれる米澤穂信さんです。今回読んだのは「追想五断章」という作品。あらためて、米澤さんの作品の構成力を高さを堪能できた一冊でした。



    結末のない物語



     リドルストーリー。

     結末を廃して、謎を残したままにしておく小説のことをこう呼ぶそうです。リドルストーリーという呼び名は初めて知ったのですが、このパターンの小説はたくさん読んでいます。「真相は藪の中」、そんな小説です。

     伊坂幸太郎さんの「残り全部バケーション」を先日紹介したばかりですが、これはまさにリドルストーリー。最後、メールが届くのですが、その送信者はいったい誰!?というところで話は幕を閉じます。送信者が誰かによって、天国にも地獄にも変わる結末です。

     宮部みゆきさんの「火車」もリドルストーリーに入るのでしょうか。あれだけ丁寧に女の足取りを追っておいて、引っ張って、引っ張って、引っ張った挙句にあのラストです。思わず天を仰いでしまいました。

     結末が書かれないとモヤモヤするかもしれませんが、ではしっかり結末まで書くのがよいか、と言われると案外そうではないかもしれません。結末が分からないからこその面白さがあります。

     そんなリドルストーリーの面白さを存分に味わえる1冊でした。リドルストーリーの小説が、作品の中に挿入されています。ただしそれは、ただ面白おかしく読む物語ではなく、重要なメッセージが込められた物語。5つのリドルストーリーからある事件の真相が浮かび上がるという、ワクワクするような構成です。

     実際は地味で重苦しい雰囲気が漂う作品で、読むのは大変かもしれません。しかし、終盤まで読み進めると驚きの真相が待っています―。

    その一行には秘密がある


     
     古書店で働く主人公は、ある女性から奇妙な依頼を受けます。「父が遺した5つの小説を探してほしい」というその依頼に興味を覚えた彼は、小説探しに奔走することになります。

     彼女の母親は、ベルギーのホテルで首を吊ってなくなりました。父親は殺人容疑をかけられるのですが、嫌疑不十分になります。次々に集まる小説から浮かび上がってくるのは、そんな過去の事件の真相で・・・。

     面白かったです。結末が明かされないリドルストーリーが5編収録されているのですが、他の作品と違っている点として、章の終わりに「最後の一行」が明かされているところでした。

     リドルストーリーを読むとき、読者は結末がどう転んだのか、想像力をフルに働かせます。そんなところに最後の一行が加わるのですから、不気味な余韻があります。結末の可能性は2つ。予想はつくのですが、改めて文字として最後の一行になると不気味さを感じます。結末がはっきりしなくても、はっきりしないことがかえって印象を高めます。リドルストーリー、面白いですね。

     終盤、いよいよ謎が解かれようとするのですが・・・。

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     見えてきたのは、1人の男の物語でした。

    集められた断章が示唆するものは、不幸ながらも彩りに満ちた人生。望むと望まざるとにかかわらず、主人公に押し上げられた男の物語。その劇に芳光はいまや背を向けることしかできない



     不思議なもので、直接言葉で語られるよりも、小説で間接的に語られる方がより多くのことを訴えかけてくるような気がします。小説は、読者にいろいろなことを想像させる1つの仕掛けになっていて、小説のそういった面が上手く取り入れられています。

     リドルストーリーに何かのメッセージが込められていて、それを紐解いていくと、うやむやになっていた事件の真相が浮かび上がってくる―ということはすぐに想像がつきます。ただ物語を読むのではなく、その裏に込められたメッセージを考えながら読みました。

     が、しかし。この小説の仕掛けは、私が思ってもみないところにありました。小説の細かいところに注意していたので、かなり意表をついた、しかし、パズルを解くような見事な仕掛けが隠されていたのです。

     詳しく書けないのが残念ですが、ヒントは上にある小タイトルです。

     「その1行には秘密がある」・・・・・・・・・・・・。

    1行に左右される面白さ



     いろいろなミステリー作家の本を読んでいますが、米澤穂信さんは構成力の高さに目を見張るものがあるように思います。重苦しい雰囲気を漂わせつつ、大きな謎を残したまま物語は進みます。謎解きの部分は本格的で、終盤はぐいぐい読ませます。重苦しい雰囲気を残したまま終わるのもここまで読んだ3作の特徴です。面白おかしく、とはいきませんが、本格的な構成には感嘆の一言です。

     リドルストーリーの面白さに、「たった1行で小説が左右される」ことがあると思います。この小説の仕掛けを知った後ならなおさらです。長い小説があっても、最後の1行で全てが左右されます。だからこそ、最後1ページ、最後の1行まで気が抜けないのが小説の面白さですね。

     リドルストーリーの虜になりそうです。ネットでリドルストーリーの小説を探して読もうかと思いましたが、最初からリドルストーリーだと分かっていたら意味がないですからそれはできませんね。たくさんの小説を読みながら、印象的なリドルストーリーを探そうと思います。

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    行に左右される本格ミステリー!

     5つのリドルストーリーに隠された秘密とは?終盤で明らかになるパズルのような仕掛けに驚かされます。結末を明かさず、最後の1行で全てが左右されるリドルストーリーの面白さを堪能します。


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    小説, 米澤穂信,



    •   06, 2015 18:11
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