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  • 宮沢賢治・イーハトーヴへの旅 #6 「どんぐりと山猫」

     08, 2015 19:30

     宮沢賢治の特集コーナーです。「セロ弾きのゴーシュ」を読むと言っていましたが、予定を変更しました。というのも、先日この本を買ったからです。

    銀河鉄道の夜 他十四篇 (岩波文庫 緑76-3)
    宮沢賢治
    岩波書店
    売り上げランキング: 63,426


     タイトルの「銀河鉄道の夜」を含む14の作品が収録されている岩波文庫です。今後は、この本に収録されている作品を中心に紹介したいと思います。「セロ弾きのゴーシュ」は収録されていませんでした。どの話からいこうかと思ったのですが、そこそこ有名なこの作品を選びました。

    どんぐりと山猫 (日本の童話名作選)
    宮沢 賢治
    偕成社
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     楽しいお話なのですが、そこにはやはり深いテーマがあって・・・。




    あらすじ



     一郎のもとに、手紙が届きました。手紙の送り主は、なんと「山猫」です。

     あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい

     へたくそな字で書かれた手紙。しかし、一郎はうれしくてたまりません。「面倒な裁判」いったい何をするというのでしょう。一郎は手紙を頼りに山をのぼることにしました。

     くりの木や滝、きのこに道をたずねながら、一郎は山をのぼりました。そしてついに、山猫と山猫の馬車別当に出会います。山猫は腹を突き出しながら言います。「どうもまい年、この裁判で苦しみます」

     毎年苦しめられる裁判とは?その時、一郎の足元で何かがパチパチとはねました。よく見ると、そこにいたのは「どんぐり」で・・・。 

    この作品のテーマ



     争いの無益さ 、でしょうか。

     面倒な裁判とは、どんぐりたちの争いでした。どんぐりたちは、「誰が一番偉いか」ということでけんかをしていました。集まったどんぐりは、なんと300以上!これは確かに「面倒な裁判」です。

     でも、「誰が一番偉いか」なんて不毛な争いですよね。そんな争いに、一郎と山猫が判決を下します。面白おかしく読めるのですが、その判決からは、「無駄な争いなんてくだらない」というメッセージを感じます。

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    「どんぐりと山猫」を読む!



     誰が一番偉いか、どんぐりたちは不毛な争いをやめません。面白おかしい会話が続きます。

    「いえいえ、だめです。なんといったって頭のとがってるのがいちばんえらいんです。そしてわたしがいちばんとがっています。」
    「いいえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。いちばんまるいのはわたしです。」
    「大きなことだよ。大きなのがいちばんえらいんだよ。わたしがいちばん大きいからわたしがえらいんだよ。」



     ちいさなどんぐりたちが、わあわあいいながらこんな言い争いを続けています。まさに「どんぐりの背比べ」ではありませんか!こんなくだらない争いに毎年頭を抱えている山猫さんも山猫さんですね。なんだかゆるーいお話です。

     ちょっと立ち止まって、「誰が一番偉いか」という争いについて考えてみたいと思います。宮沢賢治の作品をいくつか読んできたので、彼が「偉い・偉くない」というものさしを嫌っていることはすぐに想像がつきます。人間も、動物も、植物も、その命は平等であるという精神を持った人です。偉い、偉くない、そんな価値は私たち人間が決めてよいものではない、と考えていたのだと思います。いばったり、見下したり、そんな態度をする人は、宮沢賢治にとってもっとも軽蔑する存在だったのではないでしょうか。実際、「注文の多い料理店」では、偉そうにしていた2人がボコボコにされていました。

     偉そうなことを書いていますが、私も子供の時はこんなくだらない争いばかりしていました。子供のころは純粋で、ある意味人間の動物的側面、本性を見ることができます。「人より偉くなりたい」、そんな風に思うのは、人間が持ついやらしい一面なのかもしれませんね。きっと、宮沢賢治はそういうことまで見抜いています。

     ただ、「注文の多い料理店」のグロテスクな結末と違って、こちらは最後まで楽しくハートフルなストーリーです。団栗の背比べをするどんぐりたちに、山猫は判決を言い渡します。その時、一郎がアドバイスをするのですが・・・。

    「そんなら、こう言いわたしたらいいでしょう。このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなってないようなのが、いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです」



     一郎くん、ナイス!痛快な返しですね。どんぐりたちもこれなら黙ってしまいそうです。一郎のアドバイスを受けた山猫は、いかにも気取った様子で、えっへんと判決を読み上げるのですが・・・。

    「よろしい、しずかにしろ。申しわたしだ。このなかで、いちばんえらくなくて、いちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなってないようなのが、いちばんえらいのだ。」



     ドヤ!という感じですが、残念!山猫は言い間違いをしてしまいました。余計なひと言が入っています。ここは思わず笑ってしまいました。この言葉が入ることで、判決は滅茶苦茶です。まとめると、「いちばんえらくないやつが、いちばんえらい」と言っているわけですからね。騒いでいたどんぐりたちも、これにはさすがに黙ってしまいました。これにて一件落着、山猫さんは結果的に名代官様でしたね。

     という感じで、今回はとても楽しいお話です。楽しく読ませていただきました。ひとしきり笑った後で、もう一度この「言い間違い」を眺めてみます。

     いちばんえらくないやつが、いちばんえらい

     これって、おバカな言い間違いではなくて、案外使えそうな気がしてきたのは、私だけでしょうか。偉い、偉くない、そんなことで争っても何の意味もない、そう伝えてくれる作品です。現実で、何かに勘違いして偉そうにしている人がいたら、上のことばをかけて冷静になってもらうのもいいかもしれません。



    こちらもどうぞ

    青空文庫 「どんぐりと山猫」
     宮沢賢治の作品は青空文庫で読むことができます。

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