HOME > スポンサー広告 > title - 理不尽さへのドロップキック -『民王』 池井戸潤HOME > エンターテイメント > title - 理不尽さへのドロップキック -『民王』 池井戸潤

スポンサーサイト

 --, -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。





  •   --, -- --:--
  • 理不尽さへのドロップキック -『民王』 池井戸潤

     14, 2015 23:21

     今日のブックレビューは、7月にドラマ化することが決定し、話題となっているこの作品です。「半沢直樹」で一世を風靡した池井戸潤さんの作品なのですが、実はこの作品、かなりの「異色作」です。ドラマ化決定に合わせ、紹介することにしました。

    民王
    民王
    posted with amazlet at 15.05.14
    池井戸 潤
    ポプラ社
    売り上げランキング: 200,887


     池井戸さんといえば銀行小説、企業小説の名手です。権力争いなどを絡めた重厚な展開に魅力がありますね。今作のテーマは「政治」。いつもの池井戸さんの本から連想するなら、「政治家の自己保身や権力争い」といった重い展開が浮かびます。ですが、読み始めると最初の数ページでそんな連想は打ち砕かれることになります・・・。



    痛快な政治エンターテイメント



     2人の体と心が入れ替わる―。

     なんと、この話はこんな設定から始まりました。現実の重苦しさを描く池井戸さんの作品で、こんな設定が飛び出すのはまったくの予想外です。堅苦しい政治小説という連想は、ここでいきなり裏切られます。

     私が読んだ池井戸さんの本はこの本を含め4冊ですが、まるで1冊だけ別の作家さんの本ではないかと思ってしまうくらい、作風は他の作品と一線を画しています。他の小説では鳴りを潜めている「遊び」の要素を、この作品でだけ思い切り爆発させた、そんな感じがします。

     ドラマ化に寄せて、池井戸さんはこんなコメントをしておられます(公式サイトより)

    いつも真面目なものばかり書いていると、たまにどうでもいいものを書きたくなるのです。バカバカしいけど憎めない、そして最後には爽やかな感動を胸に届けてくれる、そんなドラマになることを期待しています。



     実は私、池井戸さんの作品でこの「民王」が一番好きかもしれないのですが、「民王」は「どうでもいいもの」なのですね 笑。どうでもいいというと投げやりに聞こえますが、とにかく面白く、楽しく読めます。池井戸さん自身政治には素人で、特に政治的信条が含まれているわけではありません。その「政治への素人感」がとてもよいです。素人だからこそ、物怖じせずにいえることがあります。特に後半は痛快な発言が続き、読んだ後はスッキリできると思います。

    どこかの誰かさんへの皮肉



     体と心が入れ替わるストーリーと書きましたが、誰の体と心が入れ替わるというのでしょうか。大胆にも、入れ替わるのは「総理大臣とその息子」です。

     政権交代が見えてくるような、混乱する政治状況。そんな中、武藤泰山(むとう・たいざん)はついに総理の椅子をしとめます。彼には、翔という大学生の息子がいました。地位と権力にしか興味がない堅気な父と、地位と権力などどこ吹く風でも人間味に溢れた息子。対照的な生き方をしていた2人でしたが、ひょんなことから体と心が入れ替わってしまいます。

     「中身が大学生の総理大臣」と、「中身が総理大臣の大学生」の誕生です。当然、世代の価値観の違いや2人の異なる性格といったものがあるので、入れ替わった後の2人はバタバタでチグハグになります。政治に全く興味のなかった大学生が政治を行い、就職活動など他人事だった総理大臣が大学生になって就職活動に挑みます。

     上手くいくはずがない、と思うのですが、入れ替わってみるとこれが痛快で、とても面白いのです。息子の方は、政治に無知であるからこそ、政治の建前や暗黙のルールと言ったものを無視してガンガン正論を口にします。一方、大学生になった総理も負けてはいません。面接官にビクビクしながら仮面をかぶり続けるような就職活動の実態はまったく無視して、面接官に説教まで始めてしまいます。読んだ後にスッキリ、と書きましたが、制度の理不尽さをストレートな物言いでズバズバ指摘してくれる点にその理由があります。

    a0002_000876.jpg

     池井戸さんの遊び心が全開です。この作品では徹底的に遊びつくしてやれ、という気持ちよさを感じます。その遊び心の1つなのですが、実は主人公の総理、武藤泰山は実際のある総理大臣をモデルにしています。

     読んでいるとすぐにピンときます。政権交代の間際に首相に就任、強面、二世議員、女好きでオタク・・・・などなど。実在の人物をモデルにしていることはすぐに分かりますね。「漢字の読み間違いが多い」が出てきたとき、こらえきれずに笑ってしまいました。

     誰のことだか分かりますか?・・・・・あ、そうです!その人で合っていると思いますよ!(もし誰のことか分からないという方がおられたら、太文字にご注目ください・・・)

    ドラマ化に期待します



     そんな「民王」、この度ドラマ化されるそうです。枠はテレビ朝日の金曜11時台、「金曜ナイトドラマ」です。この作品はたしかに深夜枠が相応しいと思います。細かいことは考えずにとにかく楽しめる作品ですから、金曜の夜というのはいい場所だな~とうれしく思いました。

     そして、注目のキャストです。

    民王 画像公式サイトより)

     遠藤憲一さんと菅田将暉さんによるW主演ですね。総理大臣役には遠藤憲一さん。これは、「この役にこの人あり」だと思います。小説を読んでいるときもイメージは遠藤さんだったので、待っていましたという感じのキャスティングですね。遠藤さんが、「中身が大学生の」総理を演じるというのがまた面白くて、どういう演技になるのか期待が高まります。

     こういうひたすら楽しく読める小説が好きです。10冊本を読むなら、必ず1冊は欲しい存在ですね。最近難しめの本のレビューが多かったのですが、よい気分転換になりました。たっぷり笑いたい方、ストレスを発散したい方、ぜひこの本をどうぞ!

    LogoFactory+(1)_convert_20150405222943.jpg
    快政治エンターテイメント!理不尽な社会に鋭く、痛快に斬り込みます。

     実際の政治や就職活動やこう上手くはいかないと思うのですが、それは小説のご愛嬌です。たっぷり笑わせ、スッキリさせてくれる。それだけで私は満足できます。
    スポンサーサイト

    小説, 池井戸潤,



    •   14, 2015 23:21
  • 上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。