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  • 宮沢賢治・イーハトーヴへの旅 #11 -争いと競争のはなし

     21, 2015 22:46
    イーハトーヴ


     ここ数日、「○○ (作品名) 読書感想文」という検索ワードがやけに目立ちます。「ん?読書感想文ブームでも来たの?」と不思議な気分で見つめていたのですが、今日ようやく気付きました。世間の小・中・高校生はそろそろ夏休みなんですね!(大学生の夏休みはもう少し先なので、気付きませんでした)なるほど、宿題に読書感想文が出されて困っているとしたら、ここ数日こんなワードが増えるのも納得です。ある意味、「読書感想文ブーム」は来ていたのでした 笑。

     私の書いた記事がどこかで誰かのためになっていたらうれしいですね。本を読まないで読書感想文を書こう、とか、人のブログの記事をコピペしておこう、というのはおかんむりですが、他の人の感想を読んでみるというのは視野が広がっていいと思います。

    イーハトーブ悪人列伝 宮沢賢治童話のおかしなやつら
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     というわけで、私も他の方の解釈を読んで視野を広げてみようと思います。毎回宮沢賢治の作品を読んでいるのですが、私が感じた感想を書いているので、実は正確にその作品のことを伝えられているわけではありません。他の方の解釈も紹介しながら、風通しをよくしていこうと思います。

     今日は、「イーハトーヴ悪人列伝」という本から、このコーナーの第6回で紹介した「どんぐりと山猫」を取り上げようと思います。



    宮沢賢治が描く悪



    「クラムボンはかぷかぷわらったよ」といった独特の言葉の創出に彩られており、それが賢治のマジックだ。ところが、賢治作品の評論や論文は、せっかくのおもしろい物語をつまらなくしてしまう傾向がある。


     なかなか手厳しいことが書かれています。しかし、ここに書いてあることが私は痛いほどわかります。宮沢賢治は俗人離れした独特の感性を持っているので、そのよさを理解するにはやはり作品を読むことだと思います。「私の記事だけではなく作品も読んでみてください」ということをよく書いているのですが、このコーナーに関しては強くそう思っています。

     

    賢治の作品は、幻想的で美しい景色の中に、どきっとするほど鋭い悪や汚辱の罪が挿入されている。(中略)そこには、どうしても悪をなしてしまう者への同情と共感がある。そして、どんな人にも救いがあるというメッセージが文の底に密かに沈め置かれている。


     これまで読んできた作品のことを思い起こしてみたのですが、どんな人にも救いがある、というメッセージが胸にストンと落ちてきます。自己犠牲の精神や美しい共感覚と並んで、これも一つのテーマになるのかもしれません。

     美しく幻想的な世界だけでなく、世界の醜いものと向き合おうとした作品もあったことを思い出します。今日紹介する「どんぐりと山猫」には、「争い」というテーマがあります。ユーモラスで面白おかしい文章だったのですが、そこにはどんなメッセージが込められていたのでしょうか。

    どんぐりたちの争い



     前に一度感想を書いているので詳細は省きますが、どんぐりたちは「誰が一番偉いか」という争いをくりひろげていました。

    「いえいえ、だめです。なんといったって頭のとがってるのがいちばんえらいんです。そしてわたしがいちばんとがっています。」
    「いいえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。いちばんまるいのはわたしです。」
    「大きなことだよ。大きなのがいちばんえらいんだよ。わたしがいちばん大きいからわたしがえらいんだよ。」



     思わずクスリとしてしまう微笑ましいやり取りですが、じつはこのやり取りを微笑ましく読めるのにはある理由がありました。初めに読んだとき、私はそんなことは考えていませんでした。筆者はこう書いています。

     激しく言い争っているようでいながら、誰一人として、相手を口汚くののしる者はいない。太っているのは醜いだとか、頭がとがりすぎてるのはヘンだといったマイナスの評価はしない。
     この争いには<悪口を言ってはいけない>というルールがある。


     この話を読んでも不快にならない理由は、「悪口を言ってはいけない」、このルールにあったのではないでしょうか。

     私たちは時々、争いをすること自体が悪いと考えてしまいがちです。そうではないと思います。私たちは、自分を優位にしようとして他人と競争したり争ったりするわけですが、その「自分を優位にする」には2つのやり方があります。「自分のよいところをアピールする」というのが1つ、そしてもう1つが、「他人の悪口を言って、他人を低めることで自分を優位にする」というものです。

     どちらが健全な争いで、どちらが醜い争いかは言うまでもありません。どんぐりたちの争いを改めてみてみます。みんな、自分のよいところを必死にアピールしています。そこに他人を低めるような言動は出てきません。

     なんだか大事なことを教えてもらいました。ブログを書く上でも忘れてはいけないことです。

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     そんな宮沢賢治からのメッセージを受け取った後で、考察はさらに続きます。争いや競争といったものを、私たちはどう考えるべきか、ということに論点が移ります。

    いつの時代でも、どんな社会でも、子どもたちは比較され、競争しながら大きくなっていく。運動会の一等賞をなくすようなことをしても、それは変わらない。競いの衝動や攻撃性をなくすことはできない。それは生きる意欲の大きな側面である。

    (中略)とにかく、威張ってみたり自慢してみたりしない子どもなんて、おもしろみに欠けること、はなはだしい。だいいち、人より抜きんでようと頑張っている子に対して<よしたほうがいいよ。偉くなろうなんて思っちゃいけない>などと、誰が言えようか。


     複雑な気持ちでこの部分を読みました。時代の流れはこれとは逆に流れようとしているからです。運動会の一等賞をなくす・・・とありますが、これがまさに今の世の中の動きで、手をつないで横並びでゴールするようになった学校もあると聞きます。

     頑張ることにはなかなか正当な評価が得られませんし、ましてや「偉くなろうとすること」や「自慢すること」への風当たりはかなり強くなっています。人を傷付けてはいけない、という点にあまりにも神経質になっていることが原因で、育てていかなければいけない様々な芽が摘まれているような気がします。

    悪口だけは言わずに



     競争それ自体は悪いことではなく、憎むべきはそこに入ってくる他者への攻撃なのだと思います。

    「どんぐりと山猫」は、むしろ<楽しく競いあおう>という物語である。その健全性を保証しているのが、<悪口を言ってはいけない>というルールであり、暴力の禁止である。


     本当に大事なメッセージです。私は、頭に血がのぼったら自分が書いたこの記事にアクセスしようと思います。ルール違反を犯してしまう前に何とか踏みとどまれるような気がします。

     守らなければいけないことは、たった1つ、とてもシンプルだけど、意外と難しい。健全な争いをしたいものです。

     今日は専門家の方の書いた本をもとに「どんぐりと山猫」を再読してみましたが、やはり私の書く感想とは一味違うということがよく分かりますね。宮沢賢治という作家はどこまでも深いです。作品から読み取っていけることは、まだまだたくさんあります。

     さて、冒頭に書いた読書感想文の話題に戻りたいと思います。宮沢賢治は読書感想文の定番中の定番といっていい作家です。特に、「注文の多い料理店」や「銀河鉄道の夜」は人気ですね。読書感想文に困っている人がいたら、ぜひ宮沢賢治の作品はどうでしょうか。平易に読める文章に、この記事に書いたような多くのメッセージが込められています。

     原稿用紙の2枚や3枚だったら、すぐに埋まりそうな気がしてきませんか?



    イーハトーヴ


     今では、「宿題代行サービス」なんてものがあるそうです。読書感想文も、お金を払って書いてもらう時代になったのですね・・・。私の立場からしたら、「どうしてそこまでして感想文を書こうとしないんだ!」と思ってしまいます。

     私は読書感想文を書くのは大好きでしたし、今でも毎日のように書いてますから 笑 、バイトじゃなくてタダでも「読書感想文代行サービス」をやりたいですね!

     冗談はさておき。

    「どんぐりと山猫」 宮沢賢治
     5月に書いた、私のレビューです。私がこの記事を書いた時は、「偉くなろう」とすることにどちらかというと否定的な立場をとっていたのですが、今回筆者の解釈を読んで考えが変わった気がします。
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    宮沢賢治,



    •   21, 2015 22:46
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