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  • 星新一のショートショート特集 (後編)

     05, 2015 01:29
    ブックレビュープレミアム


     ここ数日悪戦苦闘していた7000字のレポートが、無事に私の元を巣立っていきました。一生懸命書いた力作なので、幸運を祈っておきたいと思います。レポートはあと3本・・・頑張ります!あと3本というべきか、「まだ」3本というべきか、大変悩ましいところですが、無理やりにでも前者で考えたいものです。

    ボッコちゃん
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    新潮社 (2013-03-01)
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     長い長いレポートの話はここまでにして、短い短いショートショートの話に話題を移すことにします。星新一さんのショートショートから私が選んだ傑作を発表していました。今日は3位から1位までを発表します。レポート1つ書くにしてもダラダラと長くなる私とは大違いで、短い話の中に見事なまでにストーリーが構成されている星新一さんの世界をぜひお楽しみください。



    berry_l_convert_20150615020047.png位 「鏡」 

    「鏡」

    魔をつかまえた夫婦・・・支配していたつもりが?
    ユーモア度 ☆☆☆☆
    ブラック度   ★★★★★
    オチの驚き ★★☆☆☆

    鏡

     トップ3に選んだ3つの作品には似ているところがあります。どれも人間への戒めや教訓がたっぷりと込められているという点です。小学生中学生の時とは違って、今読み返すとやはりこういった類の話から感じることが多いです。

     ある男が、鏡の中から出てきた悪魔をつかまえます。しかし、出てきたのは何とも弱弱しい、情けない悪魔でした。みじめな顔をして反撃もできない悪魔を見て、男と男の妻は加虐性をそそられます。2人は悪魔を壺に閉じ込めました。そして、ストレスがたまった時に発散するための感情のはけ口にしたのです。

     嫌なことがあれば、閉じ込めておいた悪魔をいじめる・・・2人は最高のストレス発散口を見つけたのです。おかげで現実世界ではストレスがなくなり、家庭には笑顔と明るさがやってきました。

     この話のオチはそこまで驚くものではありません。悪魔が逃げ出してしまうのです。ストレスの発散相手を失ってしまった2人、さあどうなるのかといいますと・・・

    もう、そのうっぷんを晴らしてくれるものはなかったが、二人の身に深くしみ込んだ習慣は消えていなかった。いつの間にか、夫の手にはハンマーが、妻の手には、ハサミがあった。



     このあとの最後の4行はなかなか恐ろしいです。誰かを傷付けることでストレスを発散する、その行為の行く先を暗示したかのようなお話です。

    3位にえらんだわけ

     悪魔をいじめることで、夫婦の間に笑顔と明るさが広がった、というのがなんとも皮肉にとんだ描写で、上手いなと思います。ストレスがなくなって笑顔が増え、表向きは幸せな夫婦。ラストでそんな構図は一気にひっくり返ります。

    berry_l_convert_20150615020047.png位 「生活維持省」

    「生活維持省」

    きる権利があるのと同様に、「死ぬ義務」がある-戦慄のショートショート!
    ユーモア度 ☆☆☆☆
    ブラック度   ★★★★★
    オチの驚き ★★★★★

     1位と2位はとても迷いました。「ボッコちゃん」の中では、個人的にはこの2作がダントツです。本当にブルブルきます。

     舞台となっているのは、とても平和な世界です。犯罪も病気も戦争もない、そんなユートピアのような世界ですが、そのような世界が成り立っているのにはわけがありました。平和の安定のために活動するのが「生活維持省」です。その活動内容はというと・・・

    生活維持省の計算機が毎日選び出しているカードは、絶対に公平です。情実が入っているといううわさなどがたったことは、ないはずです。そう、老人だからといって、子供だからといって、差別をすることは許されません。生きる権利と死ぬ義務は、だれにでも平等に与えられなければなりません



     彼らは、人口を安定させるために、毎日一定の人を殺害します。そう、この世界では絶対的な平和が保たれる代わりに、人びとが「死ぬ義務」を負うのです。

     はたしてどちらを選んだものでしょう。戦争や病気、犯罪が一切ないが、毎日選ばれた人が死ぬ世界。それとも、戦争も病気も犯罪もあるが、「死ぬ義務」はない世界。死ぬ義務というのはとても怖くて、そんなのはいやだと後者を選びたくなります。でも、どうでしょう。天秤にかけた時、私たちの生きている後者の世界も相当に恐ろしいものであることに気付きます。本当に深い一編です。

     そんなことを思っていたら、驚きのオチが!実は、上に引用したセリフがある意味「フラグ」になっています。最後まで全て計算し尽くされていたのですね。

    2位にえらんだわけ

     投げかけてくるテーマの深さと、最後の見事なオチ。2つが合わさって高評価です。また、作品の雰囲気にもたまらないものがあります。一見平穏で、波風の立たないような世界。そこにある恐怖とのバランスが絶妙な余韻を誘います。

    berry_l_convert_20150615020047.png位 「おーい でてこーい」

    「おーい でてこーい」

    事の一言!長く読み継がれる、「ショートショートの教科書」
    ユーモア度 ★★★★★
    ブラック度   ★★★★★
    オチの驚き ★★★★★

     日本で一番有名なショートショートといってもよいかもしれません。「ショートショートの教科書」があったとすれば、まず一番初めに習うであろう、素晴らしい作品です。それぐらいに、ショートショートの面白味が細部までつまった最高の作品です。

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     ストーリーは単純明快です。得体のしれない穴が見つかります。穴を見下ろしても、全く底が見えません。そんな穴をビジネスにしようと、人が集まってきました。穴埋め会社なるものができて、人々にとって都合の悪いものは全て穴の中に廃棄していったのです。

    穴は都会の住民たちに、安心感を与えた。つぎつぎと生産することばかりに熱心で、あとしまつに頭を使うのは、だれもがいやがっていたのだ。この問題も、穴によって少しずつ解決していくと思われた。



     テーマは、ずばりある四字熟語です。「い」、から始まる熟語ですね。オチは読めてしまうかもしれませんが、そのオチをそれとなく、さりげなく示した星さんの終わらせ方が見事です。

     あとしまつが嫌だ、というのは本当に鋭い指摘です。あとしまつを好んでやろうという人はなかなかいないと思います。地味で、汚くて、生産性がなくて、誰にも褒められず、面倒くさくて、コストはかかり・・・書いていたらきりがないくらい、ネガティブなことばかりが浮かびます。もしこの話のように、あらゆるものを飲み込んでくれる穴があったら、たしかにそこにすべてを投げ込んでしまいたくなるような気がします。

     その穴が一体どこに通じているのか-考えただけで怖いですね。

    1位にえらんだわけ

     とても有名な作品で、ベタすぎるかもしれないとも思いましたが、やはり素晴らしいです。今の世の中のいろいろな問題に対しても訴えかけてくる点は大きくて、いわゆる「未来へのツケ」(ネタバレになっておりますが・・・)の恐ろしさを伝えてくれます。




     星新一さんのショートショート、いかがでしたでしょうか。「ボッコちゃん」は新潮文庫の100冊にも選ばれていて、2015年夏限定カバーで発売されています。ショートショートが50編も入って、お値段は550円+税です。私は星新一さんの回し者ではありませんが、こんなにお得な文庫本はなかなかない!と思っています 笑。私自身、こんなにも楽しませていただきました。

    星新一公式サイト
     久しぶりに読んだら、私の中でブームが再来して、他の作品をあさりそうな勢いです。ですが、ショートショートはやはりすきま時間に読んでいくというのがぴったりですね。星さんの作品は、今のように多忙な時期に上手く生活に組み込んで読んでいくスタイルがいいと思います。
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    星新一,



    •   05, 2015 01:29
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