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  • 歪んだ愛の螺旋 -『Nのために』 湊かなえ

     18, 2015 01:21
    Nのために んだ愛が絡まって起きた悲劇・・・それぞれの「N」の正体は?

     今回から、ブックレビューではミステリー作品を連続して紹介します。私にとって、夏といえばミステリーが読みたくなる季節です。ミステリーの世界にどっぷりと浸るために、ミステリー作品にしぼって集中的に読むことにしました。今日から数回にわたってお送りするミステリー特集、名付けて「ミステリーナイト」!夏も後半にさしかかってきましたが、怖さがありながらもページをめくる手が止まらなくなるミステリー作品でお楽しみください。

     第1弾は、昨年ドラマ化もされました、湊かなえさんの「Nのために」を紹介します。



    LogoFactory+(1)_convert_20150817102602.jpg    first night × kanae minato

    クロネコ Introduction

     物語は、ある事件から幕を開けます。

    一月二十二日、午後七時二十分頃、東京都×××区××三、野口貴弘さん(42)宅で、会社員の野口さんと妻奈央子さん(29)が死亡していると××署に通報が入った。警察では現場に居合わせた四名から詳しく事情を聞いている。



     自宅内で、無残にも息絶えた夫婦。そして何故かそこに居合わせた4人・・・。4人のうちの一人が、犯行を自供しました。他の人の証言とも矛盾がなかったため、彼は逮捕、起訴され、懲役10年の刑に服します。

     ところが、事件の真相は別のところにありました。現場に居合わせた4人には、「ある計画」があったのです。そして、その場の全員には、複雑な事情がありました。それは、複雑に絡み合う、「歪んだ愛」の形・・・。

    その人のためなら自分を犠牲にしてもかまわない。その人のためならどんな嘘でもつける。その人のためなら何でもできる。その人のためなら殺人者にもなれる。

    みんな一番大切な人のことだけを考えた。一番大切な人が傷つかない方法を考えた



     主要な登場人物には、みな「N」というイニシャルがつきます。それぞれが「Nのために」行動するのですが、その「N」の対象は人物ごとに違います。その複雑な設定に、歪んだ愛の螺旋が絡みつきます。「歪んだ愛のミステリー」の幕開けです。

    クロネコ ャーペンのノック

     歪んだ愛と書いてきましたが、相当歪んでいます。久しぶりに湊かなえさんの本を読んだので、この感覚を忘れていました。登場人物には誰も共感できず、吐き気を催すようなこの最悪な読後感・・・。ひどい形容の仕方ですが、これこそ湊かなえさんの世界観という感じですね。この世界観、好きな人はとても好きみたいです。私は怖いので半年に一冊にしておきます・・・。

     不倫、虐待、痣、そして殺人・・・。愛とは結びつかないようなこれらのことばが、愛と結びついて何とも気持ちの悪い歪みを生み出していきます。真相が判明してくるあたりは耐えられるところギリギリでした。真相が知りたいという思いと、こんなものは見たくないという生理的な反発がぶつかりあって、まさに「ドロドロ」の終盤です。

    究極の愛とは、「罪の共有」



     この意味深なセリフ・・・作品の中盤あたりから出てきます。真相が分かるシーンでも、効果的に使われていました。夫婦の死体が横たわる犯行現場で、いったい何が起きていたのでしょうか・・・。

    a0100_000002.jpg

     作中に出てくる、「シャーペンのノック」のやりとりは印象的です。これは、登場人物の希美と成瀬が行っていたやりとりです。希美には将棋という趣味がありました。女子学生の趣味としてはかなり地味な印象がありますね(実は、趣味が将棋ということも事件の重要なポイントです)。そんな希美は、成瀬に詰将棋を解く手助けをしてもらっていたのです。

     いとも簡単に詰将棋を解く成瀬。希美は、「すごい」というメッセージを伝えるために、シャーペンを後ろの席からコンコンコンと3回ノックしていました。

     それがある日、ノックの回数が4回になります。そして5回に・・・。

    結局わからないまま、あの事件が起こり、最後に五回鳴らされて、僕たちはお互いに口をきかなくなった。もちろん、アイシテル、じゃない。

    四回は今でもわからないままだけど、最後の五回は、死んじまえ、だったんじゃないかと今でも思っている。

     

     5回のノックを「死んじまえ」と思ってしまう・・・彼らの間にいったい何が起きたのでしょう。そして、実は成瀬が思っていたこの考えはハズレです。5回のノック、そして4回のノックに込められた本当の意味とは・・・!? 登場人物に共感できないのと設定が複雑なのでげんなりとしてしまいましたが、こういった演出はさすが惹きつけるところがあります。

     いろいろなことが絡まって、頭がぐちゃぐちゃになります。私は読了後にネタバレサイトの助けも借りながらようやく事件の全貌をつかみました。こういうとなんですが、全体を改めて見渡すとかなり「気持ち悪い」です。けなしているようですがそうではありません。そう思わせてくれるところこそ、この湊かなえさんです。

    クロネコ味悪い小説 

     作中の登場人物、西崎は文学に傾倒しています。彼は小説を書いていて、この物語の中にも彼の書いた小説が挿入されているのですが、これがまた気持ち悪い!自己陶酔におぼれ、気味の悪い表現を積み重ねた彼の作品には胃がむかむかするような感覚があります。ですが、彼の小説も事件の重要なカギを握っているので、読み飛ばすわけにもいきません。

    右腕の一点に激痛が走った。母親がタバコを押し当てたのだ。皮膚の表面をどろっと焼き尽くす痛みの矢はそのままからだの中を突き抜け、脳天に突き刺さった。悲鳴をあげることもできない。頭の奥がしびれ、視界が歪んでいく。



     ↑こんな感じの描写が続きます。上のような描写も「愛」に絡められていくのです。本を読んだことのない方も、このあたりで十分気持ち悪さは感じていただけたかと思います。まったく、湊かなえさんにはたくさんのトラウマを植え付けられました。

     なんとか耐えながらたどりついた結末部分。ここでも、「歪んだ愛」という設定が巧みに生かされていました。事件の真相に迫るセリフはここでは引用できませんが、今までの気持ち悪さが集約したかのような、見事な、しかし最高に気味の悪いセリフが待っていました。・・・私には、理解の追いつかないような真相です。

     気持ち悪い気持ち悪いと連呼してきましたが、これが湊かなえさんの真骨頂かと思います。普通は、「こんなもの、二度と読むか!」と思うはずなのですが、ほとぼりが冷めたころにまた読みたくなるのがなんとも不思議な魅力です。




    LogoFactory+(1)_convert_20150817102602.jpg

     ミステリーナイト、第1弾はいかがでしたか?紹介する作品は決めているのですが、作品の内容を知らないので、この先の本がどんな展開になるのか、私が一番怖いです。

     さて、次回は辻村深月さんの作品を紹介する予定です。こちらもお楽しみに!

    #53 歪愛 (ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ / 辻村深月さん)
     歪んだ愛、そして辻村深月さんとくれば前回紹介したこの作品ですね。この作品も、なかなかえぐい描写がありましたよ。次に読む作品はどうでしょうか?楽しみ半分、おののき半分です。

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    小説, 湊かなえ,



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