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  • 100万分の1回のねこ 1匹目 「生きる気まんまんだった女の子の話」 江國香織さん

     24, 2015 19:23
    100万分の1回のねこ   
    きになるわけにはいかない・・・だって、「生きたい」から。

     本の画像を見て、「あ、あの絵本か!」と思った方もおられると思います。ですが、よく目を凝らしてもう一度見てみてください。今回紹介したいのは、「100万回生きたねこ」ではなく、「100万分の1回のねこ」という本です。

     佐野洋子さんの大ベストセラー絵本、「100万回生きたねこ」を愛する13人の作家たちが、「100万回生きたねこ」と佐野洋子さんに愛をこめて書き上げた短編を集めたのが、この「100万分の1回のねこ」です。

     同じ絵本から出発しながら、そこには、その作家さん独自の世界が広がっています。そこで今回から、ここに収録されている13の短編を定期的に1つずつ読んでいこうと思います。「100万回生きたねこ」がどれだけ愛されてきたか、そして、作家にどのような影響を与えてきたのか・・・1つ1つの物語を、じっくりと見ていきます。

     トップバッターは、江國香織さんの短編、「生きる気まんまんだった女の子の話」です。



    100mann-1.png  
    きる気まんまんだった女の子の話 江國香織

     生きる気まんまん、だから「誰のことも好きにならない」。とても切ないけど、どこかほっとするような・・・江國香織さんが書く短編をどうぞ。

    ネコ2らすじ

     1人の女の子がいました。女の子は物心がつく前に両親を亡くし、叔母さん夫妻にひきとられました。叔母さんは一人で花屋を切り盛りしています。

     女の子は、幼いころから多くの時間を叔母さんの花屋で過ごしました。そこには、叔母さんが飼っていた1匹のねこがいました。猫は、女の子の唯一の遊び相手であり、話し相手だったのです。

     女の子は、猫にこう話しかけます。

    「そりゃあ叔母さんはいいひとよ。尊敬してるし、感謝もしてる。でもね、どうしたって、好きになるわけにはいかないの」



     女の子は、さらにこんなことも言います。

    「でもね、どうしたって好きになるわけにはいかないわ。誰かをコッコロから好きになったりしたら、身の破滅、一巻の終わりだもの」



     「好きになるわけにはいかない」女の子はそう繰り返します。そこには、ある理由がありました。それは、女の子が知っていた、「ある絵本」のなかのお話です。女の子は、生きる気まんまんでした。だからこそ、人を好きになるわけにはいけなかったのです。

     女の子は、大きくなっても気持ちを変えることはありませんでした。「人を好きにならない」そう決めて生きる女の子は、どのような人生を送るのでしょうか-。

    ネコ2 
    00万回生きたねこ × 江國香織さん

     あらすじに書いた「ある絵本」とはもちろん、「100万回生きたねこ」です。初めて心から他者を愛して、そして、二度と生き返ることのなかった猫。女の子は、こう思ったのでした。「人のことを好きになったら、死んでしまうんだ」-。

    「だって、誰かをコッコロから好きになっちゃったりしたら身の破滅だもの。孤独が大事なの。知ってるでしょう?百万回も死んで、百万回も生きた立派なトラ猫の話を。あの猫は、王様のことも船乗りのことも、おばあさんのことも子供のことも、好きにならなかったから何度も生きられたのよ」



     1番最初の短編ですが、すごくいいのです。本当に、すごくいい。

    a1130_000259.jpg

     人を好きにならないことを誓って生きる女の子。江國香織さんが、その人生を優しく描いていきます。それは、とても寂しい人生なのかもしれません。ですが、ラストを読んだとき、なぜかほっとするのです。人を好きにならない、そのことを貫いた人生だったはずなのに、なぜかほっとするのです。そのわけは、女の子の流した涙にありました。

    ネコ2
    うして涙が出るのだろう

     江國香織さんの描く世界観が素敵です。透き通っていて、本の向こうまで匂いと色を運んできそうな・・・そんな描写が、作品を彩ります。

    天上が高く、植物だらけで全体に緑の、ひんやりとした匂いのするその場所が、女の子は気に入っていました。とくに雨の日は素敵で、水滴のびっしりついたガラスごしに、大通りを往き交う車や傘をさした人々、滲んで輝く信号の色を飽かず眺めたものでした。



     さて、女の子は誰のことも好きにならないと決めて、年を重ねていきます。男の人から誘われたことも何度もありました。しかし、女の子の意志は揺らぎません。

     しかし、女の子は結婚します。誰のことも好きにならないのに結婚・・・?何だか矛盾して聞こえますが、女の子が選んだのは、「絶対に好きにならないと思う男の人と結婚する」ことでした。なんともすごい発想です。女の子の選んだ男性は、ぞっとするような顔つきで、うんざりするような性格で、怠惰で卑屈で小心者の威張り屋、おまけに無職ときたものです。なるほど、好きになれそうにもありません。

     女の子は、年をとっても「女の子」と作品の中で呼ばれ続けます。小さい時に読んだ絵本に影響されたまま、本当にそのまま大きくなった女の子のことが浮かんで、思わず微笑んでしまいます。

     そんな女の子は、最後まで自分の意志を貫きました。しかし、最後に彼女は涙を流します。夫が亡くなったのです。涙を流すということは、夫のことを愛していたのでしょうか。いや、この場面にはこう書いてあります。「好きだと思ったことのない夫」・・・

     好きだと思ったことがないのに、どうして涙が出るのでしょうか。

     この涙を流す場面を読んでいて、こみ上げてくるものがありました。何度も何度も、文字を手でなぞりながら、小さく声を出しながら、繰り返し読みました。いろいろなことが詰まっているのでしょう。この部分を引用してしまうと、この作品の全体を紹介してしまうことになるので、つづきはぜひ、本のほうを手に取ってみてください。

    100mann-1.png 
    1匹目のねこ ~私のつぶやき~

    誰かを好きになったら、人生はより豊かになる。誰も好きになることのない人生は、とても寂しいもの。そんな風に頭の中ではなんとなく理解して、納得している・・・つもりです。

     でも、人を好きになるって、どういうことだろう。どんな気持ちをさして、「好きになった」というのだろう。





    こちらもどうぞ

     次回から、通常の記事の更新の間に、このコーナーをはさんでいきます。13の短編が集まった本ということで、全13回の長いシリーズとなります。ぜひ気長にお付き合いください。毎回異なる作家さんの作品なので、全くテイストの違う物語が楽しめると思います。

    特集 「100万分の1回のねこ」
     記事はこちらのページにまとめていきます。また、ブログの方に特設バナーも設置します。特集の概要と次回予告を書いているので、ぜひこちらもご覧ください。
     
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    江國香織,



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