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  • 宮沢賢治・イーハトーヴへの旅 #12 「ツェねずみ」

     31, 2015 23:51
    ツェねずみ (ミキハウスの宮沢賢治絵本)
    宮沢 賢治
    三起商行
    売り上げランキング: 609,483


    屈なネズミはやがて・・・

     表紙のネズミが、すごい顔をしています 笑。このネズミの顔が、彼の性格を本当によく表わしています。今回紹介するのは宮沢賢治の「ツェねずみ」というお話です。主人公はツェねずみというねずみなのですが、このねずみ、かなり性格が卑屈です。

     卑屈というのは、嫌われる性格でトップ3に入るくらい、人から嫌われる要素だと思います。こんな顔をして生きているねずみに、当然よい結末は待っていませんでした。今日は、皮肉たっぷりのダークな宮沢賢治をお楽しみください。



    あらすじ



     天井裏に、「ツェ」というねずみが住んでいました。ねずみが床を歩いているとき、たまたま出くわしたいたちがよい情報を教えてくれました。戸棚から金平糖がこぼれ出しているというのです。ねずみは喜びました。いたちにお礼を言うこともなしに、戸棚の方へ駆け出しました。

     ところが、ねずみが戸棚に向かうとそこにはありの兵隊がいて金平糖をあさっています。弱いねずみにはどうもできません。ありの隊長に「帰れ」と言われ、ねずみはすごすごと帰っていったのでした。

     ねずみは何だか面白くありません。金平糖があることを教えてくれたいたちに向かって、こんなことを言い出します。

    (引用)
    「いたちさん。ずいぶんお前もひどい人だね。私のような弱いものをだますなんて。」
    「だましゃせん。たしかにあったのや」

    「みんな蟻がとってしまいましたよ。私のような弱いものをだますなんて、償(まど)うてください。償うてください。」



     いたちは自分が持っていた金平糖を投げ出して、怒って行ってしまいました。

     その後も、家中の様々なものたちがねずみに親切にしてくれました。しかし、ねずみは上手くいかないことがあると、その親切をしてくれたものたちにこう言い散らします。

     「償うてください。償うてください。」

     -いつしか、誰もねずみに構ってくれなくなりました。そんな中、唯一ねずみに声をかけてくれたものがありました。それは、「ねずみとり」で・・・

    せっかくの親切を



     あらすじを書いているだけで、イライラが止まりません。人間でこんな人がいても、同じような結末になるでしょう。宮沢賢治の痛烈な皮肉が光ります。はっとさせるような美しい表現を生み出す一面もありますが、こういったダークで風刺の効いた作品にもとても魅力があります。人間の卑しい面を鋭く捉えていたのだろう、と感じさせます。

     ねずみの行動は、はっきり言って最悪の極みです。よかれと思って親切にしてくれた人たちに、あろうことか八つ当たりを始めるのです。ねずみの最悪な面を書き出してみることにします。

    ・自分の責任を認めようとしない狡猾さ
    ・自分が「弱い」ことをやけにアピールする卑屈さ
    ・「償ってくれ」と言って、謝罪ではなく見返りを求める卑しさ
    ・親切をしてくれた相手に、感謝どころか罵倒を始める心の貧しさ

     そろそろ張り倒したくなってきたころでしょうか 笑。こんなことをやっていたら、周りに誰もいなくなるはずです・・・。物語とはいえ、どうしようもないねずみですね。

    a0990_001402.jpg

     そんなねずみの元に、最後に残ったのは「ねずみとり」でした。実はこのねずみとりは、人間に反感を持っていて、最初はねずみの味方だったのです。人間にちっとも感謝してもらえないねずみとりは、わなの中のエサをねずみにタダでやろうとしていました。

    (引用)
    「ねずちゃん、おいで。今夜のごちそうはあじのおつむだよ。お前さんの食べる間、わたしはしっかり押さえておいてあげるから。ね、安心しておいで」



     そこにずけずけとやってきたのがツェねずみです。エサだけ食べて帰って行ったのですが、だんだんと態度が大きくなってきました。

    (引用)
    「今晩は、お約束通り来てあげましたよ」

    「じゃ、あした、また、来て食べてあげるからね」



     ・・・ねずみの最悪な面に、付け足しをしなくてはいけませんね。

    ・態度がデカい!
    ・図太い!!


     結末はもう書く必要もないと思います。最後まで腐った性格が直らなかったねずみは人間に捕えられてしまいました。同情する人はいないと思います。ねずみが、一度でも「ありがとう」、もしくは「ごめんなさい」が言えていれば、こんな結末にはならなかったと思います。あるいは、人のせいにするのをやめれば、卑屈になるのをやめれば・・・。でも、ねずみは何も変わりませんでした。いや、ねずみの性格を考えると、「絶対に変われない」と私は思います。その意味でも、皮肉たっぷりで、哀れな結末です。

    どうして嫌われる?



     卑屈というのは嫌われる性格でもトップ3に入る、と冒頭で書きました。卑屈な人が好き!なんて人はまずいないと思います。万人に嫌われるのだとしたら、やはりそこには理由があるはずです。

     自分も他人も不幸にするから。私はそれが理由だと思っています。卑屈な人というのは周りの人を不幸にしてしまうでしょう。冒頭の絵本のような顔をした人が、ウジウジとグチを言ってきたり、自分の非を他人のせいにし出したりしたら、大抵の人は気分を悪くすると思います。

     それだけでなく、卑屈な性格はその人自身も不幸にしてしまうようです。このねずみのように、周りからいろいろなものが逃げ出していって、しまいには「ねずみとり」のような不幸に自ら飛び込んでいくことになるでしょう。自分も、他人も不幸にするとは悲しすぎます。

     すごくネガティブな作品に思われるかもしれませんが、宮沢賢治の作品には天才的な心地よいテンポがあって、文章には面白さを感じさせます。ですが、面白い文章の中には、「嫌われる要素」がいくつも散りばめられています。この作品を読むと、「こんなことをすると人に不快な思いをさせるのだな」ということが想像できていいのではないでしょうか。

     自分も他人も不幸にするというのは改めて悲しいことです。発想を変えて、「自分も他人も幸せにするにはどうしたらよいか」を考えてみるのがよいかもしれません。きっと、人生が上手く回り出すはずです。



    イーハトーヴ

    「宮沢賢治・イーハトーヴへの旅 旅程表」
     
    このコーナーのまとめです。今回で12回目と、たいぶ記事も増えてきました。今回のように、人生の教訓と言えるようなことを考える回もあれば、宮沢賢治が繰り出す美しい描写を鑑賞する回もあり、私自身、楽しくやっています。
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    宮沢賢治,



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