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  • 若者が何かを叫んでいる -『絶望の国の幸福な若者たち』 古市憲寿

     07, 2015 01:50
    絶望の国の幸福な若者たち
    古市 憲寿
    講談社
    売り上げランキング: 62,234


    「ムラムラ」している若者の一人として

     この本がどう評価されるべきか、19歳の私には分かりません。この本がどう評価されるべきか手っ取り早く知りたいときに参考にするのがアマゾンのレビューですが、星5つのレビューと星1つのレビューに見事に分かれていて、ますます分からなくなりました。ただ、私が今「当事者」としてこの本を読めたことはよかったと思います。

     私を含め、若者は馬鹿者で愚かで未熟です。誰かに影響されてコロッと変わってしまうし、何も分かっていないのに分かった気になってしまうし、何も分かっていないのにブログでは偉そうなことをほざくし・・・。行く当てもなく海の上を漂流している漂流物のようなイメージがあります。どう評価されるべきかは分かりませんが、この本にはそんな「漂流物のような」若者の姿が、たしかに刻まれていました。



    まあ、幸せです


     タイトルに「幸福な若者たち」とあります。これには意表を突かれる方もおられるのではないでしょうか。若者は「不幸」という言葉と共に語られることが多いからです。時代の閉塞感などというものと絡められ、若者は常にネガティブに捉えられてきたように思います。そして、二言目にはバッシングの対象となります。

     若者について書かれた本はこれまで何冊も読んできましたが、あまりにもひどくて、途中で投げ出した本もありました。言葉は悪いですが、「時代錯誤のおじいさん」が、「若者=悪」という絶対の前提のもとで思考が停止したかのように若者バッシングを繰り返しているような、そんな本もありました。若者は自分の価値観が通用しない別の生き物ですから、とにかく排除したいのでしょう。

     そんな本に比べれば、この本は良くも悪くも「リアル」に溢れていて、私はこの本を歓迎したいと思いました。お先真っ暗のこの日本という国に生まれて、不幸に違いないと思われていた若者ですが、実は若者たちは「幸福」を感じている、そんなところからこの本は始まります。

     「幸福」といっても、消極的なものだと思います。この節のタイトルを「まあ、幸せです」にしましたが、これは私が今「あなたは幸せですか?」と聞かれた時にこう答えるだろうな、という答え方です。「はい、幸せです!」ではなく、「いいえ、不幸です・・・」でもなく、「まあ、幸せです」。私が周りの人を見ていての印象ですが、私と同じように答える若者は多いように思います。

     「まあ、幸せです」の「まあ」にはどのようなニュアンスがあるのでしょう。どうして、「まあ」を付けようとするのでしょう。ささいな一言ですが、考えてみると面白いものです。その「まあ」の正体がこの本にはあった気がしました。具体的な言葉にするなら、中盤に出てくる「コンサトマリ―」です。

    icon_141751_32.png コンサトマリ―

    自己充足的。「今、ここ」の身近な幸せを大事にする感性。仲間たちとのんびり自分の生活を楽しむような、そんな生き方。「仲間がいる、小さな世界の日常」  (参照:p104)



     たぶん、「まあ、幸せです」を説明するこれ以上の概念はないと思います。本文にもあるのですが、人はもはや自分がこれ以上は幸せになるとは思えない時、「今の生活が幸せだ」と答えるしかないのです。「(う~ん、いろいろと不満はあるけれど、とりあえず生きてるし、とりあえず楽しくやってるし、自分より不幸な人もいるし・・・)まあ、幸せです」。言葉を足してみると、こんな感じになるでしょう。

     そんな若者の姿を押さえた上で、次は「若者の社会活動」の話です。

    ムラムラする若者たち



    201510_convert_20151006225909.png

     私がこの本で一番印象に残っているのは第4章です。第4章は、「若者のデモ活動」について書かれていました。若者のデモ活動、それは私がこの本に手を伸ばしたきっかけです。

     自分と同じくらいの世代の人が、必死に何かを叫んでいます。主張の是非はともかく、その「叫ぶ」ということ自体が、私には無視できることではありませんでした。若者が何かを叫んでいる。何を叫んでいるのか、どうして叫んでいるのか。
     
     著者の古市さんは、実際にデモの現場に行って、そこにいる若者たちの声を拾っています(※この本は2011年の発行なのでデモというのは最近活発な安保法案に対するデモではありません)。その「若者の声」こそが私の聞きたかったものであり、それをありのままに伝えてくださったことには感謝しています。

     関連の箇所を、上の図にまとめてみました。言葉で長々と書くよりは理解しやすいのではないかと思います。デモ活動に参加する若者、何かを燻らせてはいるものの行動はしない若者、そのあたりの心理が分かるのではないでしょうか。

    若者たちが生きる身近な世界(親密圏)と「社会」という大きな世界(公共圏) (p181)



     若者が「社会」と切り離されたところで生きているというのは、確かにそうだなと思いました。若者たちが普段生きているのはすごく狭い世界で、タレントの結婚や新しく始まるドラマが話題になることはあっても、政治や経済が話題になることはほとんどありません。

     たまに「社会」というものに直面し、考えることがあっても、自分ひとりの力ではどうしようもならないことに気付いて、たいていはそこで終わりです。よく言われる「閉塞感」だけが残って、また狭い自分たちの世界に戻っていきます。古市さんの用いる「ムラムラ(村々)する若者たち」という言葉は、あまりにも的確です。

     若者のデモ活動が「魅力的で分かりやすい『出口』」である、というのは真理だと思います。何か確固たる意志があってそれを主張したいのではなく、そこにいる若者たちにはまずは「叫びたい」、という思いがあるのではないでしょうか。「社会」から切り離された若者が、社会とつながろうとする。その過程で「デモ」というのはたしかに分かりやすい出口ではあります。

    「今ここ」の幸せ



     「今ここ」を生きている若者ほど幸せ、古市さんは最後の方でそう述べています。心のどこかで、私もたどり着いていた結論だったのでしょう。心にグサリとくるものがありました。

    お金がなくてもそこそこ楽しい生活をしていく知恵を、今の若者たちは持ち合わせている



     この部分なんかは本当にそうです。そこそこ不満があったとしても、身近にあるもので不満を解消する、そんなことが上手くなったと私は感じています。人には迷惑をかけず、最低限のことはこなし、あとは「今ここ」を楽しく、そんな感じでしょうか。

     ただ、そうはいかないときもあります。先程書いたように、ある時「社会」が見えてくる瞬間があります。その時、若者は大きな壁にぶつかります。

    a1380_000076.jpg

     さて、最後にこの記事を読んでおられる「大人」の皆さんにお願いです。

     最初に書いたように、若者は馬鹿者で愚かで未熟で、大人からすれば、「何も知らないくせに何を言っているんだ」と思われることも多いのではないかと思います。そんな若者の一部が、デモに参加して声を上げるなど活動をしています。社会のことなんかこれっぽちも分かっていないくせに、ブログで何かをほざいている若者もここにいます。

     すごく未熟で、愚かなことをやっている風に映るのだと思います。ただ私は、上に書いたように、主張のうんぬんではなく、何かを叫ぼうとしているその行為とその意味に注目したいなと思って、今はいろいろと調べているところです。自分たちのいる狭い世界から頭を出して、何とか「社会」とつながろうとする、そんな若者の姿ですね。

     若者のやっていることにちゃんと向き合ったうえで、「それは違う」「それはおかしい」と批判したり、教え導いたりすることはおおいにありだと思います。というか、そうあるべきだと思います。

     若者がやっていることをただ愚かで未熟と断じ、切り捨てる―そういうことだけは、絶対にしないでほしいと思います。


    レコメンド

    「まあ、幸せ」な若者が、そこから抜け出そうとする時・・・

     私のようなこの本で書かれているど真ん中の世代が読むとこんな感想になるのですが、大人の人が読んだらどう思うのかとても興味があります。アマゾンのレビューや他の感想を読んでみようと思います。



    オワリ

     上に書いたお願いがちょっと分かりにくかったので、具体例を付けてみることにしました。

    この記事にコメントが付いたとして・・・
    ○ 「記事読みました。ちょっと考え方に未熟なところがありますね。~という部分は一面的で、・・・という見方もあるはずです」

    ×「若い奴が何も分かってないくせに何偉そうなこと書いてんだよ。うぬぼれるな、ブログなんかやめろ」

    やや極端ですが、こんなことが言いたかったのです。



    私たちは“内向き”ですか? ~若者たちは今~(「クローズアップ現代」 2015年9月9日)

     若者が社会に対して声を上げ始めるようになったことを伝えた先月の「クローズアップ現代」です。放送されたテキストが全文読めます。大変興味深い内容なのでぜひ読んでいただきたいです。

     この番組の感想をいろいろと見ていましたが、残念ながら若者を「切り捨てたい」大人の方も大勢いらっしゃるようで。
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    社会, 古市憲寿, 一般書,



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