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最果てアワード2015 ★ 総合部門 (5~1位)

 23, 2015 00:00
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合部門のトップ5!2015年、こだわりぬいた最後の5冊!!

 2015年の年間ランキング、「最果てアワード」を発表しています。前回に引き続き、今回は文学以外の作品を対象とする「総合部門」の発表です。残すは上位5作品、悩んだ末に選んだこだわりの並びになっています。

 それではさっそく、総合部門のトップ5を発表していきます。



総合部門(1位~5位)



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読書について 他二篇 (岩波文庫)
ショウペンハウエル
岩波書店
売り上げランキング: 5,064


〔書名〕 『読書について』
〔作者〕 ショウペンハウエル
〔ジャンル〕 学術古典・哲学思想(読書論)
〔読了日〕 2月28日
〔記事〕 ブックレビュー #19

  第5位は読書論の古典であるショウペンハウエルの1冊です。今年はこの本をはじめ、専門的な内容を扱った学術文庫もたくさん読むことができました。このような専門的な本にすぐ手を伸ばせるようになったのは大学の図書館のおかげです。

 さて、この『読書について』ですが、現代に読んでも多くの教訓を得ることができる、充実した1冊でした。読書が好きな方、読書の意味を考えてみたい方には特におすすめです。

コーヒー が書いた記事から

読書をしているときの私たちの頭は「他人の思想の運動場」だと述べ、自分の頭で考えていないから私たちは読書をしてほっとした気持ちになるのだと主張しています。そして、読書をしていくうちに、私たちはものを考える力を失っていく、と警鐘を鳴らすのです。



他人の知識をかき集めて、量だけ増やしてもそれは見かけ倒し!
難しい言葉を使って深遠な文章に見せるけども、結局は何が言いたいのか分からない!
引用は他者の権威を借りて、手軽に喜びを感じているだけ!

厳しい批判がこれでもかと続きます。鋭く正論をついてくるだけに、言い返すことばもありませんでした。



 記事の引用からも分かるように、とても厳しいことが書き連ねられています。巷にある「読書本」といえば、本を読むことはいいことなんだという立場を崩さない「読書礼讃」的な内容が多いですが、さすが読み継がれている古典とあって、そんなに甘くはありません。

 まとめると、「ただ読むだけではだめ」ということでしょうか。私も本を読んだ後は入念に読書ノートを付けたりブログの記事にしたりして、自分で考え、何かを残すということを意識しています。「読んだのに内容を覚えていない」ということがないようにしたいのです。ブログのおかげで、最近はそういうことはほとんどなくなりました。

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自殺論 (中公文庫)
自殺論 (中公文庫)
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デュルケーム
中央公論社
売り上げランキング: 32,587


〔書名〕 『自殺論』
〔作者〕 デュルケーム
〔ジャンル〕 学術古典・社会学
〔読了日〕 4月23日
〔記事〕 ブックレビュー #39

 第4位はこちらも有名な古典、デュルケームの『自殺論』がランクインです。今年は社会学の本もたくさん紹介しました。現実の問題に照らし合わせた最近の本が多かったですが、こういった古典もたくさん読むことができました。

 「自殺」と「社会」の関係と言われると、漠然とですが想像できる方が多いのではないでしょうか。自殺と社会は密接に関係しています。デュルケームは、緻密は統計的作業を通して自殺と社会の関係を明らかにしようとしたのです。

コーヒー が書いた記事から

自殺は、個人の属している社会集団の強さに反比例して増減する(p247)

 これが、1つの結論であり、私が現代社会にも十分通用すると思った部分です。個人が社会集団に密接に関わっていればいるほど、自殺は少なくなります。当たり前のことのようですが、いろいろなデータがこの結論により説明できます。



集団との結び付きが強くなればなるほど自殺は減ります。それなら、その社会集団をもっと強固にして、個人を掌握することが自殺の予防になる、とデュルケームは最後にまとめます。当然の結論です。でも、難しいですね。



 とにかくその分析が綿密で詳細なことに驚かされるでしょう。圧倒的な統計量から得られる精緻な分析・・・学問とはかくあり、ということを示した1冊でもあります。

 デュルケームは、社会統合の強さ(凝集性)と自殺の関連を解明します。個人と社会の結びつきが弱まり、個人化が進むと自殺は増えるというのです。宗教別のデータなどを見ると、あまりの数字の違いに愕然とします。いかに自殺と社会が密接に関わっているか、未読の方はぜひ確かめてみてください。

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孤独の価値 (幻冬舎新書)
森 博嗣
幻冬舎
売り上げランキング: 14,735


〔書名〕 『孤独の価値』
〔作者〕 森博嗣
〔ジャンル〕 新書・哲学
〔読了日〕 1月28日
〔記事〕 ありません

 自殺の次は「孤独」・・・お前は一体どんな本を読んでいるんだ!と思われそうですね。私は「社会病理」という分野に関心があって本をよく読みます。タイトルを並べているとそれだけで気分が沈みそうなものばかりです。でも、生きていく上でとても興味深い本ばかりですよ。

 年間第3位は森博嗣さんの『孤独の価値』。森博嗣さんの本はよく売れます(この間は、そのことを逆手にとってすごい内容の本を出されましたね。森さんにはびっくりです)。この本も昨年11月に発売され、そこそこ話題になりました。

コーヒー が書いた記事から

 記事を書いていないので、本の中から一部引用を掲載します。

あまりにも、メディアに流れる虚構が一辺倒だ、ということに最大の問題があるだろう。たとえば、家族にも友達にも関係なく生きている人間を描くことがあるだろうか。家族や友達に裏切られても、自分一人で楽しく生きている人間を描くことがあるだろうか。どうしても、そういうものは寂しさを伴ってしか表現できない。一般の人はこう考えないよね、と決めつけてしまっているからだ。



孤独は人間にとって実に大切で、価値のある状態だ、と僕は考えている。極端な話をすれば、孤独を感じたことがない人間は馬鹿だと断言できる。



 森さんは筋金入りの理系で、とても理路整然と、そしてさばさばとした物言いをされます。森さんのファンはとても多いですね。この本でも、「孤独=寂しい」というステレオタイプを非難し、孤独の価値を淡々と説明されるのです。

 とても素晴らしいのは、孤独に生きなさいというのではなくて、孤独に、しかし他者のために、そして社会のために生きなさいと主張しておられるところ。要するに、他者や社会とはしっかり強調しつつ、自分の中で本当に大切な「孤独」を保ち続けることの大切さを説いておられるのです。ぜひ読んでいただきたい1冊です。私は店頭で立ち読みして迷わず購入しました。

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翻訳語成立事情 (岩波新書 黄版 189)
柳父 章
岩波書店
売り上げランキング: 12,891


〔書名〕 『翻訳語成立事情』
〔作者〕 柳父章
〔ジャンル〕 新書・言語
〔読了日〕 11月2日
〔記事〕 ブックsレビュー #81

 第2位は柳父章さんの『翻訳語成立事情』。1982年とかなり昔の新書ですが、私にとっては思わぬ「掘り出し物」でした。面白さや感銘といった点では間違いなくナンバー1で、総合でも堂々の2位に選びました。

 読書は小説中心で、こういった小難しそうな本は敬遠されるという方もおられるかもしれません。たしかにタイトルは小難しそうで敷居は高いですが、実はこういった本がある意味小説よりも面白いということを私は伝えたいと思います。「へえ~」とか「なるほど!」とか、そんな風に思わず声が出てしまうような充実した内容で、「言葉のロマン」を感じることができる1冊です。

コーヒー が書いた記事から

翻訳語の意味は抽象的で、どこか「宙に浮いている」ような感じがありますね。そのあいまいさの正体と、私たちが意識しないうちにそのあいまいさに依存しているような面を、この本は見事に指摘しています。



翻訳語のプロが書かれた本ということで、抜群に分かりやすく、抜群に面白いです。「へぇ~」とか「ほぉ~」とか、思わずそんな声を何度も出してしまいました。翻訳語の持つ「あいまいさ」の領域の説明が絶妙で、あいまいなのに納得してしまうところがあります。



 「思わず声が出てしまう」と、記事の中でも全く同じことを書いていました。よほど感銘を受けたのですね。翻訳語の意味があいまいだということは私も以前から分かっていたつもりですが、そのあいまいさを生かして言葉に「魔法」がかけられている・・・ということが分かると感動しました。

 言語って本当に深いんです。読むたびにその深さに驚かされます。私たちが当たり前のように用いている日本語も、実は私たちが思いもよらないロマンが潜んでいて、好奇心は尽きません。図書分類の813番(日本語)は最高に面白く、文学以外では私の一番大好きなジャンルです。

 さあ、いよいよ総合部門の第1位です。2015年総合部門ナンバー1の本は・・・!

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反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
湯浅 誠
岩波書店
売り上げランキング: 13,096


〔書名〕 『反貧困 「すべり台社会」からの脱出』
〔作者〕 湯浅誠
〔ジャンル〕 新書・社会(貧困)
〔読了日〕 7月16日
〔記事〕 ブックレビュー #61

 湯浅誠さんの『反貧困』が第1位です。今年はこの本をはじめ、貧困に関する本をたくさん読みました。その中でももっともインパクトを残し、「もっと勉強しなけけばいけない」と決意させたのがこの1冊でした。

 (貧困を勉強する前の)私も、世の中の多くの人も、おそらく貧困を軽視しすぎています。貧困の恐ろしさに気付けていないと思います。私はまだまだ勉強の途中ですが、「危機感」だけは今年覚えることができました。その危機感を持って、来年以降も勉強を続けていきます。

コーヒー が書いた記事から

この本で私たちが一番心して読まなければいけないのは、筆者が指摘する、「貧困が自己責任で片づけられる恐ろしさ」です。



自己責任というのは本当によく言われますが、それは、「いくつかの選択肢があって、それを平等に選ぶことができる状況で、本人の責任で選んだこと」に対して責任がある、ということです。追いつめられた貧困の状況ではやむにやまれずに限られた選択肢を選ぶしかないので、これを自己責任と呼ぶのは間違っています。筆者もそこは指摘しています。



 自己責任というのが、一つのキーワードになります。いまだに貧困を自己責任で片づけようとする声があります。そのたびに胸を痛めています。たとえば、貧しい家に生まれて一生貧困から抜け出せない子だもがいたとしたら、その子どもが「貧しい家から生まれて来たこと」が悪いのでしょうか。少し考えればそうではないと分かりそうなものですが・・・悔しいことですね。

 この前のお休み中にも書いたのですが、私は貧困が「読書」と結びついたことで、よりこの問題を真剣に考えるようになりました。人間には絶対に本が必要だと思います。子どもの時からひたすら生き延びることしか考えられず、本を読めずに育つ人の子とを考えると、この問題は他人事ではなくなりました。

 貧困を研究する学者は声をそろえて言います。「貧困は、あってはならないもの」。貧困の本は来年以降も紹介していくつもりです。この本の1位で締めくくり、来年につないでいこうと思います。


★ 年間ランキング総合部門 順位決定!

スクリーンショット (11)




◇ 年末に「最果てアワード2015」のもう1つの部門、「文学部門」のランキングを発表します。私が読んでいる本の内訳は文学:その他=7:3ほどなので、文学はより多くの本が選考対象になります。私が一番好きな小川洋子さんの本はもちろん、今も売れ続ける壮大なあの物語から辛い時に私を支えてくれたあの本まで、内容盛りだくさんです。素晴らしい本たちと共に、2015年を締めくくろうと思います。

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  •   23, 2015 00:00