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  • 言葉のゆらめき -『すべて真夜中の恋人たち』 川上未映子

     25, 2015 00:00
    すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)

    うことばとゆらめく気持ち

     「最果ての図書館」1周年のリニューアルをすると言っていましたが、その一環として、新しいコーナー「ブックレビューリトル」がスタートします。年明けからの開始を予定していましたが、どんな感じのコーナーにするか、練習の意味も込めて年内に先行スタートすることにしました。クリスマスの今日、新コーナーが少し早めに始まります。

     コーナーの内容については記事の終わりで詳しく説明しますが、「リトル」とあるように、すぐに読める短いブックレビューのコーナーです。内容は「400字書評」と「栞」の2つから構成されます。第1回は川上未映子さんの『すべて真夜中の恋人たち』を紹介します。



    ブックレビューリトル

    すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)
    川上 未映子
    講談社 (2014-10-15)
    売り上げランキング: 46,750


     川上未映子さんの本を読むのはこれが初めてです。2008年に『乳と卵』で芥川賞を受賞されました。他に『ヘヴン』などの代表作があります。

     本の帯などを見ていると、とても芸術的な美しい文章を書かれるそうです。私が手に取ったこの『すべて真夜中の恋人たち』は、まずそのタイトルに惹かれました。実際に読んでみると、この『すべて真夜中の恋人たち』という不思議な魅力をはらんだことばがとても効果的に、そして印象的に使われている小説でした。

     それでは、400字書評です。字数が限られているので、少しでも字数を節約するために常体(だ・である調)で書いています。

    400字書評

     とても不思議な小説。本の推敲を仕事にする主人公の周りには、いろいろな言葉が巡る。それらの言葉が「実体を持たない」というのがとても面白く、独特の浮遊感がある。いろいろな言葉が、まるで泡のように生まれては消え、生まれては消えを繰り返す。そんな言葉のゆらめきとざわめきに身を委ねながら読み進めた。

     主人公はとても弱く、脆い。自分の殻の中で生きる「ワレモノ」の彼女が口にする今にも消えそうなか細い言葉が、真夜中の空の中にそっと消えていきそうな雰囲気を醸し出す。そんな彼女が抱く、これまた消え入りそうなか細い恋。「好き」に押しつぶされて右往左往してしまう彼女の姿に読んでいてじれったくなってしまうが、ゆらめきながら、ざわめきながら、彼女は「自分の言葉」を吐こうとする。未熟でどうしようもない人だけれど、そんな姿にいつの間にか寄り添っていた。光や粒子といった表現が多用され、人間の儚い存在を映し出すのも印象的。(398)



    栞

     『すべて真夜中の恋人たち』の中から、印象的だった箇所を紹介します。

    「自分以外の誰かにべつに何かを求めない代わりに、自分からも誰からも求めさせないっていうかね。まあそうやって生きていれば、それは楽なんじゃないの?」


    ふれるというのは、むずかしい状態です。ふれているということは、これ以上は近付くことができない距離を同時に示していることにもなるから。


    わたしはいつもごまかしてきたのだった。目のまえのことをただ言われるままにこなしているだけのことで何かをしているつもりになって、そんなふうに、いまみたいに自分に言い訳をして、自分がこれまでの人生で何もやってこなかったことを、いつだってみないようにして、ごまかしてきたのだった。


    こんなにもたくさんの場所があって、こんなに無数の音や色がひしめきあっているのに、わたしが手を伸ばせるものはここにはただのひとつもなかった。



     今にも消えそうなか細いことばたちが、泡のように生れては消える―そんな「言葉のゆらめき」が魅力的な作品でした。作品の中の表現も、繊細で消え入りそうな雰囲気を感じさせるものが大変多いです。か細くはあるのですが、必死にことばを吐こうとする、言葉にしようとする主人公の姿がとても印象に残りました。



    <新コーナー「ブックレビューリトル」について>

    ブックレビューリトル

     「ブックレビューリトル」は毎週水曜に更新している「ブックレビュー」のショートバージョンです。ブックレビューは毎回3000~4000字をめやすにレビューを書いていますが、こちらのコーナーではもっと短くまとめて本の紹介をします。

     内容は「400字書評」「栞(作中で印象に残った表現集)」の2本立てです。私は何を書いていても長文になってしまう長文癖があり、それは読む人にとって必ずしも歓迎されるわけではないので、少し反省しているところでした。今回は「400字書評」ですっきりとまとめます。400字書評の字数は380字~420字にする、というのがルールです(これなら、ダラダラ書けませんね!)。短い字数で本の魅力を端的に伝えられるように、これから数をこなしながら練習していきます。

     さて、「ブックレビューリトル」の更新頻度についてです。毎週水曜日は「ブックレビュー」、毎週日曜日は「本のコーナー」で固定します。このコーナーは、水曜、日曜以外の曜日の不定期更新となります。1つの記事にどれくらい時間がかかるか試してみたのですが、400字書評を書いて引用箇所を抜き出す作業で30分ほどでした。・・・いつもの記事と比べると、とても効率がいいです。このコーナーはけっこう記事を量産できそうな感じがあります。

     ということで、ブックレビューとコーナーの合間にこちらの短いレビューを積極的に挟んでいきます。30分で書ける大変効率のいい記事なので、現在記事のストックをどんどん作っているところです。忙しくなった時にも記事を安定して出せるよう、記事を溜めていこうと思っています。こちらのミニコーナーにもぜひご期待ください!

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    小説, 川上未映子,



    •   25, 2015 00:00
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