HOME > 社会科学 > title - 統計データ、正しく読み解く -不透明な時代を見抜く「統計思考力」』 神永正博

統計データ、正しく読み解く -不透明な時代を見抜く「統計思考力」』 神永正博

 10, 2016 18:39
 私が勉強している統計学に関する本を紹介しようと思います。難しい数字や公式がメインとなる本ではありません。そういった数字や公式も出てきますが、主なテーマとなっているのはタイトルにもなっている「統計思考力」です。

不透明な時代を見抜く「統計思考力」 (日経ビジネス人文庫)
神永 正博
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 80,741


 「統計思考力」というのは、データをどう見るか、データから何を見出すかなどの「データを利用する力」と言い換えられると思います。計算や公式と同じくらい、あるいはそれ以上にこの「統計思考力」は大切です。この力がないと、都合よく切り取られたデータに騙されたり、せっかくのデータから正しい情報を読み解けなかったりします。

 この本は、初級編、中級編、上級編に分かれており、ステップアップする形で統計思考力を学ぶことが出来ます。統計学を全く知らない人でも十分ためになる内容だと思いますが、対象としては、ちょうど私のように統計学を学び始めて少しは知識のある人に効果的な一冊だと思います。



内容紹介



ブックレビューリトル

そのデータ、正しく読み解けていますか?
どこを見る?何を集める?どう読み解く?筆者がイチから教えます


 統計は「自分でモノを考える際に強力な武器になる」と筆者は述べます。そんな強力な武器になる統計を「使いこなす」ために。データを集める力、分析する力、利用する力・・・そんな「統計思考力」を教えます。

 中級編以降は、統計学の本格的な内容も登場します。そして上級編では、目から鱗の「データを利用する力」を教えます。難しい内容も噛み砕いて説明されるので、初学者にも優しい内容となっています。

 巻末に掲載されている、筆者が利用しているデータのリストは必見です!データを使いこなして強力な「武器」にしたい方は、ぜひ手に取ってみてください。

ブックレビューwith「ブクログ」



 ブックレビューコミュニティ「ブクログ」に投稿した私の感想です。クリック先にあるブクログのページでは、他の方が書かれた感想も読むことができます。

 統計学を学び始めて1年が経ちました。その段階で読んだのですが、これまで学んできたことの復習にあたる部分が6割、これまでには学んでいない、「そうなのか!」というような目から鱗の内容が4割、という感触でした。統計学をこれから学ぶという人には導入として使える1冊だと思いますし(本当の初学者には若干内容が難しいかもしれません)、私のように統計学をほんの少しだけ理解しているという人にとっても多くのことが学べる1冊だと思います。

 この本で新しく学んだこととしては、正規分布とべき分布の違い(fat tailの問題)、正規分布と「独立」の関係、ワイブル分布、ポアソン分布(重ね合わせによるランダム化)などがありました。中でも、最後の「上級編」で説明される「データを見る力」についての記述は本当に勉強になりました。例の一つに挙げられていた失業率の話を紹介しますが、単に失業率の数字を見るだけでは正しい判断が出来ず、生産年齢人口の推移も考慮する必要がある、という説明は大変分かりやすく、タイトルにもなっている「統計的思考力」を身に付ける上で大変有益な論が展開されていると思います。

 最後に筆者が述べているのが、「データからすべてが分かるわけではない」ということ、そして「自分は分かっている、という『過信』の危険」です。これは本当にその通りだと思います。データと自力を過信せず、謙虚な姿勢を保っている。これはこの分野の専門家に何よりも必要とされる姿勢ではないかと思います。


ブログ+コンテンツ



 ブクログのレビューに加えて、ブログだけのオリジナルコンテンツを掲載しています。

 今回は「AUTHOR IS HERE」のコーナーです。本の中にある記述から、著者の思想や信条、人柄に迫ってみようというコーナーです。今回のテーマは、「過信の危険性」です。

autour is here

 筆者の神永さんは、こんなことを述べておられます。上の感想にも書いたのですが、もう少し詳しく見てみることにしましょう。

今になって、あらためてデータをにらんできて、いかに自分が社会について知らないかを痛感します。同時に、知らないということが、いかに危険なことかを思うと、ぞっとすることもしばしばです。



 この記述は、本のおわりに出てきました。私はこの部分を読んで、この本、そしてこの著者への信頼がぐっと高まりました。筆者は統計の専門家です。専門家というのは、何か(その分野について)何でも知っている人、というイメージがあります。しかし、本当の専門家というのはその逆だと思うのです。つまり、自分が「知らない」ことをどれだけ自覚できているか。無知を自覚している人、自覚し続けられる人というのが「専門家」なのではないかと私は考えています。

 神永さんは、このように続けます。

おそらく、自力で考えることの最大の敵は、自分にはわかっているという過信です。いちばんむずかしいのは、正気を保つことなのです。正気を保つために、データ分析ほど強力な薬はないでしょう。



 統計学を学び始めた時、私はデータをちょっとばかし利用できるようになってかなり調子に乗りました。「データからこんなことが分かるんです!」ということをとにかく言いたかったのです。

 専門家の神永さんはその対極をいきます。統計を扱う人は、この考え方を肝に銘じておかなければいけないと思います。データは万能ではないし、データを扱う人間も完璧ではないのです。「正気を保つために」、データを分析するという考えを私も持ちたいと思います。

 今日は、統計の専門家がどんなことを考えてデータに向き合っているのか、という点に迫ってみました。知れば知るほど、自分の無知を自覚し、謙虚になる。学ぶことの本質を見た気がします。



オワリ

『面白くて眠れなくなる社会学』 橋爪大三郎さん

 このブログでは社会学の初心者向けの本をよく紹介しています。社会学や社会統計学に興味のある方は、こういった易しい一冊から始めてみるのがよいかと思います。

スポンサーサイト

一般書, 社会,



  •   10, 2016 18:39