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  • 渾身 -『聖の青春』 大崎善生

     09, 2017 11:06
     29歳の若さで亡くなった将棋棋士、村山聖九段。そんな村山さんの生涯を綴ったノンフィクション、「聖の青春」を紹介します。2016年秋には映画化され、俳優の松山ケンイチさんと東出昌大さんの熱演は大きな話題を呼びました。

    書影

    聖の青春
    大崎 善生(著)
    株式会社 KADOKAWA
    発売日:2015年6月20日




     このノンフィクションは、将棋にあまり興味にない方も含めた、たくさんの方に読んでいただきたい作品です。若くして亡くなった棋士の物語ということで、悲しく、辛い話を想像してしまう方も多いのではないかと思います。もちろん村山さんが亡くなってしまわれたのは悲しいことです。しかし、それ以上にこの作品から伝わってくることは、真に「生きる」ということ、そして圧倒されるようなエネルギーである、と私は思っています。



    一行レビュー図書館



    一行レビュー図書館

     本の内容や魅力を、一行ずつ、簡潔に紹介する「一行レビュー図書館」のコーナーです。

    ・29歳の若さで亡くなった将棋棋士、村山聖九段の生涯を記した、渾身のノンフィクション作品
    ・筆者は村山さんのことをいつも近くで見守り続けた作家の大崎善生さん

    ・幼いころに発症し、村山さんを苦しめ続けた病気
    ・しかし、将棋は村山さんにとって、どこまでも連れて行ってくれる「折れない翼」だった
    ・「強くなりたい」「負けたくない」、その気持ちが彼をどこまでも強くする

    悲しみ、辛さよりも「凄味」「エネルギー」に圧倒される作品
    ・どこまでも欲望に忠実で、勝利に貪欲な生き方
    ・それは究極の「生きる」。むしろ惚れ惚れして、うらやましくなるほどの。

    ・彼の周囲の人々の愛も魅力
    ・彼の全てを受け入れようとした家族、誰よりも近くで彼と共に歩んだ師匠
    ・そして、盤上で火花を散らしたライバルのトップ棋士たち

    ・巻末には、村山さんが残した将棋の棋譜を多数収録
    ・それは彼の人生そのもの。もう1つの「物語」も必見。

    真の「生きる」がある



     「ブクログ」に投稿したレビューと、本からの一節を紹介するミニコーナー「スケッチブック」です。

    「『命懸け』という言葉は自分には使えない」

     映画「聖の青春」の公開に寄せて、将棋の佐藤康光九段が述べられた言葉です。ずっしりと心に響きました。この言葉に、映画を観た方、本を読んだ方の多くが共感されるのではないかと思います。「命懸け」なんて、決して軽々しく言えるものじゃない。

     病気になった村山さんが、将棋という「翼」を手に入れた-筆者の大崎さんがそう表現されていることが印象的です。それは限りなく広がる、折れない翼でした。病気と闘い続けた生涯だったかもしれませんが、盤上ではそのようなことは関係なかったのだと思います。その手から放たれる一手には「揺るぎない強さ」を感じます。きっと、将棋という翼があれば、どこまでも行けたのだと思います。

     若くして亡くなった棋士のお話で、終盤は辛くて読めなくなるかもしれないと予想していたのですが、案外そうでもありませんでした。むしろ、村山さんが輝いて、まぶしくすら見えました。それは、村山さんが本当の意味で「生きて」いたからではないか、と思います。あらゆる欲望に忠実に、そして勝利に貪欲に。「かわいそうな人生」なんて印象は、微塵もありません。太く、短く、輝かしい炎が瞳の奥に見えました。

     そのように感じさせるのは、村山さんの生き方だけではなく、師匠の森先生の温かいまなざし、そして筆者の大崎さんの素晴らしい文章があってのことだとも思います。多くの人に読んでいただきたい、素晴らしい1冊です。


     上のレビューでも触れている「折れない翼」というのはこの部分です。

    スケッチブック


    施設での生活もベット上の空間も、もうつらくはなかった。知れば知るほど、勉強すれば勉強するほどに広がっていく世界に聖の心は強くひきつけられた。しかも運のいいことに、聖が手に入れた将棋という翼は、多くの子供たちが抱くはかなく泡のように消えていく夢とは違い、それは簡単には折れない翼だったのである。(p49)



     名人になるという夢は半ばでついえてしまいました。しかし、村山さんの残した渾身の棋譜は今も未来も残り続けます。一手一手に村山さんの生き方や信念が刻み込まれていて、それは今後も語り継がれていくと思います。そう考えると、大崎さんの書かれたように将棋という翼は決して折れることのない、強い翼だったのですね。

     村山さんが残した棋譜が巻末に収録されています。そこに込められた思いを、ぜひ駒を動かしながら感じ取ってみたいものです。そこには、大崎さんの素晴らしい文章とはまた違った、もう1つの「物語」が隠されていることでしょう。

     以上、「聖の青春」の紹介でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

    ◆殿堂入り決定!
    「最果ての図書館」は、『聖の青春』を「シルバー」に認定しました。(画像クリックで一覧表示)




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    ノンフィクション, 大崎善生,



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