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  • 意識高い系(笑) -『何者』 朝井リョウ

     09, 2015 23:46
    何者
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    朝井 リョウ
    新潮社
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    臓を突きぬかれるような、そんな衝撃-。 

     皆さん、「意識高い系」という言葉を知っていますか。大学生あたりは馴染のある言葉だと言います。一言で説明するのは難しいのですが、例えばボランティアやインターンシップなどで自己PRに躍起になったり、SNSでやたらと背伸びして自分語りをするような人たちのことを指します。そういった人たちを誉めているわけではなく、これは「蔑称」です。「あいつら、痛い。何やってんの」といった感じに。
     私はこの言葉を聞くと胃がむかむかします。意識高い系が嫌いだから?そうではありません。嫌いなのは・・・。これは今日の感想の最後で話しますね。今日は朝井リョウさん、「何者」をご紹介しようと思います。以下、「何者」のレビューです。



    ギスギス



     主人公の拓人は就職活動中の大学5年生。同じような状況にある就活生たちと仲間をつくります。共に夢をかなえるために・・・ってそんなきれいな小説ではありません。彼らのリアルと同時進行するのが「ツイッター」。物語の隙間隙間に彼らの「つぶやき」が挟み込まれ、現実とネットと2つの世界が交錯します。

     こんなに「自分世代」の小説を読んだのは久しぶりです。仲間とつるみながら、片方ではツイッターの画面に目を落とし、そして今の自分のことをつぶやいていく・・・。本当にリアルで、「こんな小説がほしかったんだよ」という感じ。仲間同士で集まっているのに、全員がスマホに目を落としていたり、講義中にも必死にツイッターで何かをしていたり、せっせと写真をとって、ツイッターにアップしてみたり・・・。たまに視野を広げてこんな風景を目にした時、なんとも言えない気持ちになります。どっちがリアルで、どっちが虚構なのか・・・。

     自分だって例外じゃありません。SNSに熱狂するのはさすがに気が引けてしまうので距離を置いていますが、いつも心にもないことを言っては愛想笑いをし、適当に話をつないで・・・。本質的にはSNSに熱狂している人たちと何も変わらないんですよね。「現実を直視したくない」「自分を傷つけたくない」・・・そして、「自分って何者?」この本のタイトルにたどり着きます。

    壮絶なブーメラン



     本編に戻りましょう。この話に出てくる大学生は、主人公含め、いかにも今どきの大学生です。冒頭に出てきたような「意識高い系」もばっちり登場します。理香さんという人は、海外ボランティアやインターンシップに精を出し、それらの経験で自分を塗り固めたような典型的な「意識高い系」。隆良くんもタイプは違いますがそういったきらいがあります。スーツを着て一斉に就活に励む就活生たちを「想像力がない」と見下し、俺は違うんだとクリエィティブを目指す。こういった人々の痛い姿が「主人公目線」で描かれます。読んでいる人はまず間違いなく思うでしょう。「こいつら、痛い」と。私のような現役バリバリ世代ならなおさらのことです。

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     主人公目線、にかっこをつけました。これが大事なんです。主人公がどういう人物かというと、そういった痛い人たちに心の中でつっこみ、そして見下す「観察者」。例えば、こんな風に。

    想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める。他の人間とは違う自分を、誰かに想像してほしくてたまらないのだ。


    ちゃんと生きてるものに通ってるものを「脈」って言うんだよ



     こういう気持ち、正直に言えば、私にもあります。いや、むしろ、「私は人のことを心の中で見下したりしない」と言える人の方が少ないでしょう。こういう風に思ってしまうことは自然で、決して責められる類のことではないと思います。しかし、主人公は「重症」でした。彼の歪んだ一面がラストで明かされます。ずっと主人公目線で読んでいたものですから、ラストを読んだ時は心臓が潰されるような感じがありました。人を見下し、自分は違うから、そんな風に思っていた主人公。ラストでは、彼に壮絶なブーメランが刺さっていきます。

    醜いのは誰だよ



     意識高い系と聞くとむかむかする、と冒頭に書きました。なぜなのでしょうか。

     自己アピールに躍起になっている人たちを見て、不快になり、嫌いになります。

     だけど、そんな意識高い系を醜い顔で笑っている人たちがいる。意識高い系(笑)、と。何も行動を起こさない人が、何か行動を起こした人を笑う。嫌いになります。

     だけど、だけど、そんな意識高い系(笑)を見て、「嫌な奴ら」なんて冷めた目でみている自分がいます。また、こんな風に人を馬鹿にする。じゃあ、自分自身はどうなの??・・・嫌いになります。

     意識高い系がむかむかする訳、それは自分へのブーメランでした。この話の主人公と同じなんです。結局は自分に返ってくる、自分が見ている。大馬鹿野郎だったこの話の主人公ですが、一歩間違えれば自分もこんなことになっている、そんな風に感じるから怖さが増幅します。

     

    十点でも二十点でもいいから、自分の中から出しなよ。自分の中から出さないと、点数さえつかないんだから。これから目指すことをきれいな言葉でアピールするんじゃなくて、これまでやってきたことをみんなに見てもらいなよ」



     今日は吐きそうなくらい胸糞のレビューでした。最後に救われるようなセリフを引用します。「自分を出すこと」、本当に大事だと思います。一番単純なようで、一番難しい。「自分を出すこと」がさらりとできてしまう人のことは本当に尊敬します。そして、そんな人と一緒にいたいな、という気持ちになります。自分がそうなれる日はまだまだ遠そうだけど。

    ◆殿堂入り決定!

    「最果ての図書館」は『何者』をシルバーに認定しました。おめでとうございます!





    こちらもどうぞ


    「スペードの3」 朝井リョウさん
     ぜひ、セットで読んでほしいです。こちらは本のあらすじではなく、朝井リョウさんという人について書いている記事です。かなり踏み込んで書いたので、ぜひ目を通してみてください。
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    小説, 朝井リョウ,



    •   09, 2015 23:46
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