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繰り返されるあやまち -『そうだったのか!現代史』 池上彰

 17, 2017 10:13
 テレビなどでもすっかりおなじみになっている池上彰さんのベストセラーをご紹介します。池上さんは、分かりやすく、それでいて本質を鋭く突いた論述で人気を集めていますね。私も、知りたいことがあったらまずは当たってみる、そんな信頼できる論者の1人だと思っています。

そうだったのか!現代史 (集英社文庫)
池上 彰
集英社
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 池上さんが、おもに第2次大戦以降の世界の現代史を分かりやすく解説した、「そうだったのか!現代史」をご紹介します。



内容紹介


人文科学

っているようで知らない現代史、池上さんと総復習!

 世界の現代史といえば、授業の最後のほうで時間がなくなって、つい雑に扱われてしまいがちなところです(私がそうでした)。ところが、そんな現代史こそが、今、わたしたちが生きている世界に直結している部分であり、知っておかない歴史であると言えます。

 多くの世界史の本でもどうしても紙幅が薄くなりがちな世界の現代史を、池上彰さんがとことん解説しています。朝鮮戦争からキューバ危機、そしてベルリンの壁崩壊まで、世界現代史の主要トピックが、「広く、深く」解説されています。

知識・教養とは何か



 この本から得られることは何でしょうか。読む前、私はどちらかというと「知識を得ること」を目的にしていました。世界現代史にかなり弱い自覚があり、なんとかしなければと思っていたからです。

 読んでみて思うことがあります。この本からはもちろんたくさんの知識を得ることができますが、それ以上に重要なのは、「教訓」のほうでした。池上さんの巧みな構成とたくさんの知識に裏打ちされた記述が教えてくれたのは、「世界が今までいかに、『同じあやまち』を繰り返してきたのか」ということ、そしてもう1つ、「あやまちを繰り返さないために私たちは何をすべきなのか」ということでした。

スケッチブック

第二次世界大戦後の歴史を振り返ると、この六○年間は、イデオロギーの対立と、自国の利益だけしか考えない大国の身勝手な行動に彩られています。

また、「理想」を追求したはずが、いつしか「同志」や「人民」を虐殺してしまうという、冷酷な現実も見えてきます。
( 「おわりに」 p406)



 全部で18章に分かれていますが、私が印象に残っているのは「文化大革命」(9章)と「ポル・ポト」(11章)でした。特に後者のポル・ポトについては戦慄すら感じる内容でした。恥ずかしながら名前しか知りませんでした。ポル・ポトはカンボジアの独裁者です。彼がやったことを学ぶと、本当にこれは現代に起こったことなのか・・・」と思わされます。池上さんが書いたように、それは「悪夢」に他なりませんでした。

 文化大革命のほうは、中国で毛沢東が起こした政治闘争です。さて、池上さんはこの毛沢東~ポル・ポトの流れで、1つの「線」が見えてくるような巧みな構成をとっています。見えてくるのは、「知識人の抹殺」という線であると私は感じました。

 知識を持つ者は、体制を揺るがす恐れがあるから知識ごと消し去ってしまえ

 そんな恐ろしいことが、世界で現実に起こっていたのでした。

「ものごとを知り、自分の頭で考える」ことのできる人間は、支配の邪魔にしかならないと考えたのです。と同時に、「肉体労働こそがすべての基本」という素朴な原始共産制の思想が根底にあったのです。
(「第11章 ポル・ポトという悪夢」 p263)



 これがいかに恐ろしい思想なのか、ぜひ立ち止まって考えていただきたいと思います。私は、知識や教養を身に付ける意味は何だろう、と考えました。知識や教養は、それ自体でお腹を満たすことはできませんし、お金を得られるわけでもありません。だからといって必要ないのか、と言われればそうではないと思います。独裁者は「知識」や「教養」を怖れました。それは、知識や教養が大切なものであるということの裏付けになっていると考えます。

 あやまちを見つめること
 そして、問い直すこと。繰り返さないようにすること。

 そのために必要なのが、知識であり教養なのではないかと思います。人間は間違いを繰り返す生き物なのだ、と本を読んで改めて思いました。愚かにも思えますが、あやまちを繰り返さないように、見つめ、学ぼうとするのもまた人間だけができることなのだと気付きます。

 それに気付いた時、この本の価値が分かったような気がしました。

 ここで紹介したトピック以外にも、たくさんのトピックが収録されています。そこから見えてくる歴史のつながり、「線」は人によって様々だと思います。ぜひ、読みながら「線」を見つけ、そして考えていただけたら、と思います。



オワリ

 池上彰さん『そうだったのか!現代史』の紹介でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



 さて、姉妹編とも言える「そうだったのか!日本現代史」のほうも購入してみました。こちらも、読んだらぜひブログで紹介したいと思います。
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