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今、読みたい「新・戦争論」〔後編〕 (新・戦争論 / 池上彰さん・佐藤優さん)

 16, 2015 18:08
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 前回からお送りしているスペシャル企画、第1弾はこの本を紹介していました。

新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)
(2014/12/19)
池上 彰、佐藤 優 他

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 今日は後編です。この本の続編にあたる対談が、文藝春秋の3月号に掲載されていました。こちらの話を中心にお届けしていきたいと思います。
 リンク 前編はこちらから #14 今、読みたい「新・戦争論」 〔前編〕




 文藝春秋の3月特別号に掲載された、池上さんと佐藤さんの最新対談です。

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 昨年11月に発売された「新・戦争論」ですが、お二人はすでにイスラム国の脅威に危機を感じ、かなり多くのページを割いて語っておられました。そんな中、1月20日に起こった人質事件。事態は最悪の結末を見ることになってしまいました。

 そんな事件を受けて再び実現した二人の対談。論点は以下のようなことです。

・安倍総理の対応に問題はなかったか
・後藤さんや湯川さんはどうしてイスラム国の支配領域に向かったのか
・今後、イスラム国はどうなるのか



 本のほうも最新の情報がふんだんに盛り込まれた十分に有益なものでしたが、この対談も事態の展開を受けて行われたものであり、ぜひ本とセットで読んでおきたい内容でした。以下、印象に残った箇所をいくつか取り上げてみます。

・安倍総理の対応に問題はなかったか

 事件後の官邸の対応については、「問題がなかった」ということで一致したお二人。ただ、事件が起こる前の日本の対応には顧みるべき点があるのではないか、と指摘しています。

池上 ただし、二人が行方不明になってからの長いスパンで考えると、今回のような事態を想定し、日本政府としてもう少し準備ができたのではないかと思うところもある。
 直ちにトップレベルで対策を考えることもできたはずです。



佐藤 1月7日のフランスで起きた連続銃撃テロ事件で局面が大きく変わったからです。この事件をもって、「イスラム国」は戦争を始めた。この認識は、日本に限らず世界中で弱かったですね。



 確かに、湯川さんの拘束や、今年初めのフランスでの新聞社襲撃事件からこのような展開を予測した人はほとんどいないと思います。私などは最も最悪で、完全に「対岸の火事」でした。前編でも書きましたが、日本人の危機意識が大きく欠如していましたし、(今もおそらく)大きく欠如しています。

 政府が繰り返し言うように、「テロに屈しない」姿勢を示すのはもちろんですが、その一方でイスラム国の動きを注視し、その目的をしっかり認識としてもっておくことが重要だと思いました。イスラム国の目的、という点では佐藤さんが分かりやすく指摘しています。

佐藤 「イスラム国」は最初から無理な要求をすることで、日本国内を分断し、さらには日本とヨルダンを分断したいわけです。また、世界に「イスラム国の行動は阻止できない」という無力感を抱かせたい。彼らは、考え抜いた上で、極めて目的合理性に基づいて行動していると感じます。



・後藤さんや湯川さんはどうしてイスラム国の支配領域に向かったのか

 これは興味を持つ方も多いと思います。私もその一人です。池上さんは後藤さんと番組で出会って以来長年の親交があったそうで、その親交ゆえ分かることも多く語っておられます。

 なぜ危険地帯へ向かっていったのか、一般人としてはどうしても納得できないものがありましたが、二人の対談で少しはそういった部分も拭えたかな、という感じがします。詳しい内容については対談の方をご覧になっていただきたいのですが、2人は全く別の思いのもとで危険地帯へ出向いていかれました。やりきれない思いが残ります。

・今後、イスラム国はどうなるのか

 佐藤さんが、今後のイスラム国の行く末として、3つのシナリオを示していました。1つ目はイスラム国の勝利、2つ目はイスラム国の壊滅(これが一番いいに決まっています)、そして3つ目が「イスラム国のソビエト化」。とにかくイスラム国が1日でも早く滅びますように、などと考えていた私にとっては、全く寝耳に水のシナリオでした。

佐藤 「イスラム国」をめぐる現状は、歴史の類比でいうと初期のコミンテルン、つまり共産主義インターナショナルに近いと思うのです。(中略)ソ連は国家としてやっていき、革命はコミンテルンが担うという分業体制になった。「イスラム国」も、今後国家ができて、その後ろでイスラム革命を輸出する組織が生まれるという考えです。



 イスラム国とは千年付き合うことになるかもしれない、とかなり強い言い方で問題提起をする佐藤さん。イスラム国とソ連・・・結び付けて考えようともしていませんでした。残念ながら、ソ連の歴史については高校の世界史で習ったっきりの私。イスラム国をめぐる現状については少しは分かった一方で、もう少し深く知らなければいけないことも見えてきました。

 「知の巨塔」とでもいいましょうか、お二人の知識の多さ、そして最新の情勢を常にアップデートし続けている姿勢にはただただ感服しました。「新・戦争論」の話に戻りますが、この本の最後には二人の情報術についての対談があります。常に最先端を走る二人の情報術ですが、案外シンプルです。

・インテリジェンスの98%は公開情報から取れる
・スケジュールやメモは一冊の大学ノートで!
・重要記事は即、破いて保存              等々・・・

 ただ、池上さんが20分で新聞10紙を読み、必要な情報を得るとこともなげにおっしゃっていたのには唖然としました。一般人にも分かりやすい説明ですっかりお茶の間にもおなじみの池上さん。その分かりやすさの裏に、すごい速さの情報処理能力があります。また、ただ分かりやすい人というわけでもありません。佐藤さんが池上さんを「良心の人(ジャーナリストの職業的良心のもと、一貫して行動している)」と評していました。改めて、その存在が日本にとっていかに重要か、分かった気がします。


 対談が掲載された文芸春秋についてはこちらから

文藝春秋 2015年 03 月号 [雑誌]文藝春秋 2015年 03 月号 [雑誌]
(2015/02/10)
不明

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 さて、次回はスペシャル第2弾ですが、第2弾もこの文藝春秋から、話題の「あの作品」をご紹介します。ちょっと表紙に字が見えていますね~。(普段は雑誌はほとんど購入しないのですが、今回はぜひ読みたい記事が2つもあったので、広告を見つけて購入即断でした。930円もしたんです、徹底的に読み倒します! 笑)
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  •   16, 2015 18:08