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  • 詐欺師と小説家 -『カラスの親指』 道尾秀介

     06, 2015 18:28
    カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
    道尾 秀介
    講談社 (2011-07-15)
    売り上げランキング: 31,545



    快!騙されたのに、心が温まる小説
     
     道尾秀介さんの作品には、毎回のように騙されています。昨年秋は「龍神の雨」、昨年末は「向日葵の咲かない夏」を読み、どちらも見事に騙されました。本当に綿密に練られた構成と巧みな伏線が秀逸な作家さん。毎回のように終盤でのけぞってしまいます(私が馬鹿正直な読みをしている、というのもありますが(^_^;)・・・)

     今回ご紹介するのは「カラスの親指」という小説です。詐欺師が主人公で、騙しあいを展開するお話。「今回も騙されるよフラグ」がびんびんに立っていますね。今回は簡単には騙されませんよ~。ペンと紙を用意して、伏線を整理しながら読むことにしました。さあ、どうなるでしょうか。以下、「カラスの親指」のレビューです。




    完敗



     騙されました。     -完―

     さすがに一行で完結させるわけにはいけませんね・・・。でも、それぐらい見事に騙されたわけです。メモまで用意しておいて、この有様です。
     
     自分なりに推理をしていました。そして、それに結構近い形で話は進んでいきました。「あれ、今回は騙されなかった?」そう思ったあたりで気づきます。あと40ページ残っている・・・。エピローグにしては少々余りすぎです。何だか嫌な予感がしました。そして、嫌な予感は当たりました。ラスト40ページで、全てがひっくり返されたのです。今回はかなり警戒して読んだので、それでも騙された時のショックは相当なものでした。

    落とし穴は最後の最後に口をあけている



     これは373ページにあることばです。そして、最後のどんでん返しが始まるのは384ページ。まさに、「最後の最後に落とし穴」ですね。この言葉が出てきたときに少しは勘付くべきでした。まだまだ余韻が覚めませんが、ストーリーを振り返っていこうと思います。

    紳士の犯罪



    「詐欺はgentlemanly crime ―つまり『紳士の犯罪』だとイギリスの作家ヘンリー・ジェイムズも言っています」



     主人公の武沢は、詐欺師として暗躍しています。冒頭から人からお金をだまし取るシーン。その手際はほれぼれとするくらい鮮やかです。相棒のテツさんと共に、彼は人をだまして生活しています。

     でも、この武沢は最初から詐欺を働く冷酷な男だったわけではありません。実は、彼は「詐欺の被害者」でもありました。友人に騙され、借金の保証人になってしまった彼は、自分のものでもないお金を必死に返済していくことになります。それに行き詰った彼は、詐欺の組織の一員として取り立てを行うようになり、その取り立ての際に、一人の女性を追いつめ、自殺させてしまいました。「被害者でありながら、加害者でもある」、武沢はそんな複雑な立場になってしまいます。

    正直者が馬鹿を見るこの世の中を、武沢は別の人間に生まれ変わって、もう一度生きてやろうと思った。ただし、今度は損はしない。今度は負けはしない。


     静かな決意を胸に秘め、武沢の詐欺師生活が始まります。かつて属していた組織から逃れながら、組織への逆襲を狙う武沢。相棒のタケさんと共に活動していたところに現れたある一人の少女が、彼らの運命を変えていきます・・・。

     「詐欺は紳士の犯罪」ということばを上に引用しました。確かに、頭脳明晰で鮮やかなその手口は、見ているこちらが惚れてしまうような、まさに「紳士の犯罪」です。でも、そこには「騙される人たち」がいるということを忘れてはいけません。この小説では、詐欺の魔の手にかかって命を絶つことになった人が描かれます。限界までむしり取り、最後は命まで奪い去る・・・詐欺は「悪魔の犯罪」でもあります。

     二人が過去の苦しい思いを胸に残しながらも詐欺を働き続ける・・・という設定がとてもよいです。華麗なる犯行というエンタメ性抜群の部分と、詐欺の残忍さを描いたシリアスな部分のバランスがとれていて、ぐいぐい読ませます。ただ人を騙す話ならこうはならなかったはずで、やはり「被害者でもあり加害者」という武沢の設定が光ります。

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     そんなこんなで楽しく読んでいたら、たぶん想像もしていないラストが待ち受けていると思います。ラストに待ち受けるのは、「華麗な詐欺」と「残忍な詐欺」のどちらでしょうか。もちろんネタバレはできませんが、「カラスの親指」というタイトルが結構ヒントになっていたりして・・・。

    手のひらで転がす



     たくさん散りばめられていた伏線が、最後にきっちり回収&解説されます。そのあたりの手際はお見事です。

     「騙す」ことがテーマの小説ですから、道尾さんに今作で期待されたことはたった一つ。それは、「読者を鮮やかに騙すこと」です。伏線が丁寧に解説されているのを読むと、いかに自分が道尾さんの手のひらの上で転がされていたか痛感させられます。「しっかり騙されちゃってくれてありがとう、ほんとはこうだったんだよ」と楽しく笑う道尾さんの顔がありありと浮かんできます。悔しいけど、楽しかったですね!

     

    「嘘をついて生活してるって意味ではいっしょなんじゃないですか?作家も詐欺師も」


     こんなセリフが出てきてニヤリとしました。確かにそうですね。底の見えない「道尾マジック」はまだまだ続きそうです。

    レコメンド

    尾さん、参りました!秀作ぞろいの中でも抜群の切れ味を見せた傑作

    自分は騙されないから、という人こそぜひ!張り巡らされた伏線と綿密に練られた構成に幻惑されて、いつのまにか騙されているかもしれませんよ?



    オワリ


     「オスダメ!?ミステリー小説」というサイトがあります。ミステリー作品を扱っているサイトで、SABC評価とサイト独自のランキングを発表しています。(評価はとても正確だと個人的には思っています)

     この「カラスの親指」も調べてみました。すると、あまたの作品が登録されている中でこの小説はなんと総合3位!(1位が綾辻行人さんの「十角館の殺人」で、2位は東野圭吾さん「容疑者Xの献身」でした。それに次ぐ第3位・・・とても評価されていることが分かります)

    オスダメ!?ミステリー小説「カラスの親指」
     リンクを張っておきました。総合ランキングは名作揃いで、眺めているだけでも楽しいですよ。ぜひチェックしてみてください。
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    小説, 道尾秀介,



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