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  • 妖怪、本領発揮 -『円卓』 西加奈子

     18, 2015 18:34

     昨日はパワフルでエネルギッシュな原田マハさんの作品を紹介しましたが、今日紹介するこの方も負けじとパワフルな女性作家です。

    円卓 (文春文庫)
    円卓 (文春文庫)
    posted with amazlet at 17.02.11
    西 加奈子
    文藝春秋 (2013-10-10)
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     「サラバ」で直木賞を受賞された西加奈子さんの「円卓」です。西さんの作品は「ふくわらい」以来2冊目。作品から滲み出る独特の存在感は、この作品でも健在ですー。



    あくの強い作品



     一言で表すなら、「あくの強い作品」「生臭い作品」という感じです。これはほめ言葉で言っています。「ふくわらい」の衝撃的なラストも同じような雰囲気でした。テヘランで生まれ、小学校時代はエジプトで育ったという西さん。異国での生活が作品に色濃く反映されています。

     主人公は小学3年生の渦原琴子(うずはら・ことこ)。愛称は「こっこ」です。こっこちゃん、小学3年生。とてもかわいい少女のようですが、・・・とんでもありませんでした。

     こっこはかなりの毒舌家です。口癖は「うるさいぼけ。」 ただでさえ口の悪い感じのする関西弁ですが、関西弁の中でも最大級のパンチ力をもったどぎつい一言ですね。愛にあふれた家族に囲まれてはいるのですが、「孤独」を愛し、さまざまな「奇行」に走るこっこ。あくの強い作品の、あくの強い主人公です。

     西さんのホームグラウンド、関西。「書いていて、楽しいのだろうな」と感じました。汚い言葉も並びますが、直感とセンスに任せたような軽妙で奔放な文が並んでいきます。

    特別になりたくて



     奇行が目立つこっこですが、案外「小学3年生」という生物を上手く捉えているのではないか、と思いました。私は関西の生まれではないのでこてこての関西弁には若干戸惑いましたが、こっこが捉える世界が自分の小学生時代に重なるところがいくつかありました。この作品は映画化されているのですが、そのキャッチコピーも「小学三年生を経験したすべての大人たちへ…」というものだそうです。同じことを思った人は多いかもしれませんね。

     

    こっこは、孤独になりたい。誰からも理解されず、人と違う自分をもてあまし、そして世界の隅で、ひっそり涙を流していたいのだ。

    自分は可愛がられたいと思ったことなどないのである。ちゅーやんに向けるような、「いうてあの子孤独や」「可哀想」という、その憐れみが欲しいのに」


     大人は、どちらかといえば「周囲から浮かないように」「目立たないように」行動します。「まともな人」であることによって、自分を認めてもらおうとします。

     小学3年生の場合は全く真逆ではないでしょうか。目立たないように周囲にまぎれることなど知りません。子供たちが自分を認めてもらうことは、とにかく「目立つこと」。自分は人と違うと信じ込み、その人と違う面をとにかく強調します。

     孤独を愛する、といったらかなり偏屈ものに思えますが、こっこもその意味では普通の小学3年生です。自分は人と違うと信じ込んでいますし、孤独になりたいのではなくて「かわいそうという憐れみが欲しい」状態なのです。こんな精神構造、子供のころの自分にもあったなあ、と懐かしい気持ちになりました。

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     私が特に共感したのは、「眼帯がうらやましい」というところです。眼帯をしてきたクラスメイトのことをうらやましがるこっこ。とにかく人と違うことをしたいようです。こっこは不整脈で倒れた子のことさえうらやましがります。そして、自分も「不整脈」になろうとします。・・・滅茶苦茶ですね。

     でも、この「眼帯がうらやましい」は痛いほどよく分かりました。私も、学校に眼帯や松葉杖でくる人がいたらすごくうらやましかった記憶があります。眼帯も松葉杖も本人にとっては災難でしかないのですが、子供からしたら「みんなから違う」「特別扱いされる」ことがすごくうらやましかったのだと思います。この「眼帯」エピソードは子供の目立ちたがりをよく表していて、微笑ましかったです。

     大人が作る型には収まろうとしない子ども。そのはちゃめちゃさを「関西弁」がうまく表現しています。先ほども書いたのですが、西さんが本当に書いていて楽しそうです。自分のホームグラウンドで思う存分に暴れまわっている感じがします。

    書くことを怖れない



     西加奈子さんの「書くことを恐れない」姿勢がすごく好きです。「ふくわらい」「円卓」と2作読みましたが、ほかの作家さんには真似できない強烈な個性と存在感が印象的です。

     その個性に身を任せ、大胆な表現をしてくるところが素敵です。書くことには悩みや苦しみも伴うと思うのですが、そういった部分を超越しているような凄みのある文章です。西さんの作品は絶対に「普通の作品」にはならないと思います。次の作品を読むのが楽しみです。

     西加奈子さんは直木賞の授賞式で、選考委員の皆さんを「妖怪」と表現したそうです。そして、「私も皆さんのようなかっこいい妖怪になりたい」と宣言されたとか・・・。

     私から見れば、西加奈子さんも立派な「妖怪」ですけどね 笑。そして、この作品は妖怪の本領発揮、という感じでした。底の見えない、まだまだ可能性を感じさせる妖怪ぶり。本当に今後が楽しみです。





    こちらもどうぞ

    「ふくわらい」  西加奈子さん
     「ふくわらい」のレビューはこのブログの最初に書いた記念の記事です! 当時はまだどういった形のブログにしようか決めていなかったのでただ文章を並べただけの簡素な形になっています。でも、この作品がブログの最初の記事というのは今から思えばとてもよかったですね。勢いがつく感じがします。
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    小説, 西加奈子,



    •   18, 2015 18:34
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