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学びの原石  -『福翁自伝』 福沢諭吉

 18, 2015 18:35
新訂 福翁自伝 (岩波文庫)
福沢 諭吉
岩波書店
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由で鷹揚な学びの姿

 こんにちは、おともだちパンチです。昨日今日と大学入試センター試験が開催されました。無事に試験を終えられた受験生の皆様、お疲れ様です。厳しい戦いはまだまだ続きますが、今日1日ぐらいは体と心を休めてあげてください。応援しております。
 さて、今日のブックレビューです。センター試験終了日にお届けする1冊として福沢諭吉「福翁自伝」を選びました。輝きを放つ「学び」という営みを知ることができる一冊だと思います。以下、「福翁自伝」のレビューです。



自分をさらけ出すこと



 1万円札の肖像になっており、「学問のすすめ」で名高い思想家、福沢諭吉がその人生の集大成として世に残したのがこの自伝書、「福翁自伝」です。大変優れた自伝書としてその評価を確立させている本冊。その要因は、福沢諭吉が自分の弱い面、至らない面も含めすべてをさらけ出している点に挙げられると思います。岩波文庫版解説の小泉信三・富田正文両名もこの点を指摘しておられます。大酒をくらい、全裸で横になっているときに名前を呼ばれ、そのまま全裸で飛び出していく諭吉、暗殺を恐れ、偽名で旅を続ける諭吉など、「学問のすすめ」からは想像もつかない姿が描かれます。自分の未熟さ、至らなさ、そういった面も直視できていることがこの自伝の大きな魅力です。

枕のない部屋



 こんな印象的なフレーズがあります。

「なるほど枕はない筈だ、これまで枕をして寝たことがなかったから」


 

 自分の部屋に枕がないことに気付いた諭吉はふと思案します。「なぜこの部屋には枕がないのだ?」、その思案の末にたどり着いた答えがこちらです。朝から晩まで夢中で書物を読み漁り、「寝る」という行為にはまったく意識がむいていなかった諭吉。そのまま床で横になるなどしていたため、枕など必要なかったんですね。そして、枕がないことに気付きもしなかった、と。新たな書物に目を輝かせ、貪欲に知識を吸収しようとする諭吉の姿が目に浮かぶような印象的な一説です。

「目的のない」学び



 諭吉が緒方洪庵の開いた適塾の下で同士と学んだ環境は、まさに学問の理想郷でした。自由で鷹揚としており、刺激に満ち溢れたその空間の素晴らしさがありありと伝わってきます。そして、そんな日々を振り返って、諭吉は「目的のない勉強」が大切だ、と説くのです。あくせくした勉強では決して真の勉強はできない、就学勉強中は静かに居るべき、こんな風に説いています。よく「何のために勉強するのか」という問いがなされます。しかし、この問い自体が間違いなのかもしれません。学びに没頭する諭吉には学ぶ目的など必要なかったようです。

 そんな理想の学びを見てみましたが、現実はこんなに美しくありません。センター試験を受験された皆さんは、大学進学という目的のもと、「成果」を求めて試験に挑まれたことと思います。大学に入っても、後半になれば就活を迎え、また成果を求めてあくせくする日々。そして、就職すると・・・以下省略です。
 成果を求めるという側面が薄まる時期が大学生の前半だと思います。この時期は自分の過ごしたいように過ごしてよいと思います。よい意味で「目的のない」素晴らしい日々が送れる最後のチャンスかもしれません。辛い受験ですが、この大学生前半を過ごす資格を得るためのものと考えて耐えてほしいです。長いこと書きましたが、とにかく・・・・がんばれ!

 受験が冬にあるのって辛いですよね。まだまだ寒い時期が続くように、センターが終わっても厳しい戦いが続きます。手をかじかませながら、足元で滑らないように気を付けながら・・・。「受験=冬」というのは残酷です。あ、でも・・・。

 あと2か月もすれば、春がやってくるんですね。

◆殿堂入り決定!

 「最果ての図書館」は『福翁自伝』を「ゴールド」に認定しました。おめでとうございます!





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福沢諭吉, 岩波文庫,



  •   18, 2015 18:35